認知症

2016年04月14日

暮雲便りNo.14:伝えきれないロクデナシ

一昨日でしたか、夕方のニュース番組内で《認知症専門病院」の現場に密着》を放送していました。なんかやたらにキレイな病院だなぁ、と思ったら平成26年5月開院でした。だから、センサーか何かで患者さんが就寝時間後に起き出したらすぐ赤色灯みたいなのが病室(個室ではなく4人部屋かな)の前(廊下側・交番みたいな感じ)に点いて、看護師さんが即刻でやってくるような設備が出来ているのね……。眠れないからナースコールをガンガン鳴らすんじゃないんだ。


車椅子に座っている人がペッぺ、ペッぺと唾を床に吐いている場面があったのですが、それも認知症だからやっちゃう、みたいな雰囲気の放送で……ダンナがあれは嫌いな人、気に入らないことがあるからやっている(一番簡単に不快感をまわりにわからせる行為)だけで、認知症にすぐ結びつけるのは……と言っていました。


あと看護師さんに暴言を吐いている男性患者さんも映ったのですが、きたない言葉を口にしながらずっとその手を握って離さないんですよ。「仕事が出来ないでしょう」って感じで、副師長さんがその患者さんを引き受けるのですが、なんでその人が悪態をつきながら看護師さんの手をギュッと握っていたのか、その心情については何もコメントがないの?と切なくなってしまいました。とても中途半端な放送で、病院の宣伝なのかしら……と思ってしまいました。病床数は300床/ 6病棟(各50床)。ホームページをみたら「履物以外(病衣、下着類等)
全て当院にてご用意いたします」とあり(絶対いろんな業者さんが入っていますよね)下世話ではありますが、仮に1ヶ月入院したらどのくらい費用がかかるのかしら、と考えてしまいました。



宇多田ヒカルさんが日テレ系ニュース番組『NEWS ZERO』の新エンディング曲を歌っているようですね。でもエンディング曲として一番ふさわしいのは『筑紫哲也 NEWS23』の、井上陽水さんの「最後のニュース」が一番だと思っている私です。



石垣さんが65歳の時に書いたという「悲しみ」という詩をお届けして、今日のお便りを締めくくりたいと思います。




私は六十五歳です。
このあいだ転んで
右の手首を骨折しました。
なおっても元のようにはならない
と病院で言われ
腕をさすって泣きました。
お父さんお母さんごめんなさい。
二人とも、とっくに死んでいませんが
二人にもらった身体です。
今も私は子供です。
おばあさんではありません。




*帰宅しました。熊本での大きな地震、夜遅い時間で不安がいっぱいだと思います。皆さま、お知り合いの方などケガや被害などはないでしょうか? どうぞお気をつけ下さい!



rohengram799 at 22:02|この記事のURLComments(4)

2016年04月06日

暮雲便りNo.6:長いお別れ~花いちもんめ

今日は踊り子さんに休んでいただいて、日本医療小説大賞(日医主催、厚生労働省後援、新潮社協力)についてのお話を。


「国民の医療や医療制度に対する興味を喚起する小説を顕彰することで、医療関係者と国民とのより良い信頼関係の構築を図り、日本の医療に対する国民の理解と共感を得ること及び、わが国の活字文化の推進に寄与すること」を目的として創設したもので、今月1日に第5回日本医療小説大賞(日本医師会主催)が決まりました。


中島京子さんの『長いお別れ』です。中島さんの本は映画化された『小さいおうち』と「スカイツリーと東京タワーの往復書簡」という言葉にひかれて買った『眺望絶佳』の2冊を読んでいますが、この受賞作も前書評を読んで気になっていました。


ちなみに第1回(平成24年度)の受賞作品は「蠅の帝国 軍医たちの黙示録」「蛍の航跡 軍医たちの黙示録」(帚木蓬生)。戦時下の食料や医薬品が欠乏する過酷な状況で、陸海軍将兵や民間人への医療活動を懸命に続けていた医師たちの物語。こちらも新聞で読んで気になっていて、文庫本をBOOK・OFFで見つけて買ったのですが、積ん読状態になっております……(O.O;)(oo;)


さてさて……“ロング・グッドバイ”は少しずつ記憶を失くして、ゆっくりゆっくり遠ざかって行く……認知症をアメリカではこう表現するらしいです。『長いお別れ』というとすぐチャンドラーが浮かんでしまいますが、中島さんの小説も認知症のお話。厚生労働省は国内における認知症患者が2025年には700万人に及ぶと言っているそう……65歳以上の高齢者のうち5人に1人が、と思うと、誰にでもどこの家庭でも直面し得る身近で切実な問題です。



主人公の昇平は3年前に初期のアルツハイマー型認知症と診断。かつて区立中学の校長や公立図書館の館長を務めていた彼はその夏、東京郊外の自宅から都心で開かれた高校の同窓会の会場に、たどり着けなかったのです……混乱した様子で帰宅した姿を見て妻が認知症外来に連れていって検査をし判明しました。なかなか検査を受けるまでいかないとききますから、このお父さんは素直だったのかも? 認知症と診断されてからの老夫婦と3人の娘とその家族の日常、10年間が計8編の連作で描かれているそうです。


認知症という言葉がまだ使われていなかったと思うのですが、ダンナさんと付き合っていた頃『花いちもんめ』という映画を観ました(検索したら1985年公開でしたわ)。もと大学教授の鷹野冬吉は、めまいがもとで勤務先の松江歴史史料館で大事な縄文土器を床に落として破損してしまいます。やがて勇退を勧告されたのですが、その事を妻には言えず……毎朝弁当を手にあてのない出勤を繰り返していました。ここでも3人の子どもが登場します。『リア王』を意識しているのではないのでしょうけど。


冬吉は家庭で介護が難しくなり、精神病院に入れられてしまうのですが、ベッドに拘束され……ダンナさんが「あれはかわいそうだよ…」とつぶやいたのをよく覚えています。花いちもんめ(1985年/日本)にあらすじなど書いてありますので、読んでみて下さいませ。



中島さんの物語でも、昇平はゆっくりと少しずつ理解できないことが増えていって、想い出も家族の名前さえも忘れ、食事や排泄といった日常生活にも介助が必要になります。奥さんは網膜剥離で入院したり、より深刻な事態に。でも奥さんはこう思うのだと書いてありました。


「この人が何かを忘れてしまったからといって、この人以外の何者かに変わってしまったわけではない。 ええ、夫はわたしのことを忘れてしまいましたとも。で、それが何か?」


樹木希林さんの声で再生されてしまった……! しかし、自分が忘れてしまう立場になったら……にじ雲便りNo.9:忘れものを忘れたい(ノ_・,)で書いたの物語の母親のように「私ね 少し前まで何だかとても恐いものがあって……何か忘れてしまったけれど でも今は違う 今は…この日差しのような心持ちなの」と言えるのかしら?



いつかこの『長いお別れ』を手にし、一冊読み終えたら、私は何を感じ何を記事にするでしょう……まだまだ感性が鈍らないうちに、いろんな物事を考えられるうちに読んでおかなくてはいけないのかな、と思いました。 





rohengram799 at 09:55|この記事のURLComments(12)

2015年12月27日

色雲便りNo.20:ハイカイカレンダー

年末、薬局や銀行、洋服屋さん(笑)などに行くと、昔ほどではありませんが来年のカレンダーをくれたりしますよね。


♪ひとつめくり忘れた暦が 寒そうにふるえ柱に張りついている……


これは懐かしいとんぼちゃんの『ひと足遅れの春』の歌い出しですが、○○暦(こよみ)というカレンダーもたくさん売られていますね。英語のcalendarは、毎月の最初の日を意味するラテン語「kalendae」に由来するそうで、日本語のカレンダーはこの英語からの借用語だそうです。そのカレンダーについてこんな記事を読みました。


《大安、仏滅…六曜「差別につながる」 カレンダー配布中止、大分》
大分県や佐伯市などは25日、カレンダーや冊子に大安や仏滅といった「六曜」を記載していたとして、配布中止などの対応を取ったと明らかにした。県人権・同和対策課は「科学的根拠のない迷信を信じることが差別につながる場合がある」と説明する。



えっと……よくわからないのですが、なぜこんな発想になってしまったのか? 文字が多いと印刷代が高くつくからシンプルにするよ!という方がまだ納得できるのですが……。大安とかにこだわる人は確かにいるけれど、行政がらみでそんなに気にすることなのか? 迷信による大事件が続いたのでしょうか?


カレンダーに書かれた見慣れない言葉や文字に「これはなに?」と祖父母にたずねる孫もいるでしょう。そこから会話も始まるし、その考えがどこで生まれて、どんな風に活用されてきたかとか、こだわるのはよくないと思うなら具体例をあげてそれを話せばいいし……知識を増やすきっかけにもなるのでは?と私なんかは思うのですが……。



痴呆やボケは放送禁止用語となり、認知症と変わりましたね。そして「徘徊」も……認知症の人に対して「徘徊(はいかい)」という言葉を使うのをやめる自治体や団体が全国で増えているそうです。あてもなく歩き回るという意味の「徘徊」という言葉が、認知症への誤解や偏見を招きかねないとの指摘があるため……だそうで、実際検索してみたらかなり前から「ひとり歩き」「お散歩」などに言い換えているところもたくさんありました。 厚生労働省は2004年、侮辱的な意味が含まれるなどとして「痴呆症」から「認知症」に変更しましたが、徘徊については「医学的には症状を表す言葉で、国が用語を変更する段階にはない」(担当者)と……。



「徘徊」という言葉、いろんな受け取り方があると思いますが、私は「ひとり歩き」より危機感があり、その人に注意が向けられている気がするのであえて言い換えるのはなぁ……と思っています。施設内などで入所者やその家族向けの言葉として「お散歩」とか使うのは悪くないと思いますが(ぶっちゃけて言うと、職員が私たちはこんなところまで入所している方々やその、ご家族に配慮してるんですよ~というアピール、自己満足にしか感じられない……すみません、なんの経験もないのに)対外的には「徘徊」の方がいろんな状(情)況をつたえやすい気がします。



♪母はすべてを暦に刻んで流して来たんだろう 
悲しさや苦しさはきっとあったはずなのに
運がいいとか 悪いとか 人は時々 口にするけど
めぐる暦は季節の中で漂いながら過ぎてゆく……



私の暦はどんな暦ですかね~日めくりだったら毎日グチばかりかしら……まぁ1日たてば破り捨ててしまうのでスッキリはするかも(;^_^A) 出来れば、ささやかでも美しい人生の花暦を完成させたいものです~1年一枚の大判サイズで~今のところ、51枚ですね(笑)


4月生まれだから、いろんな桜が描かれていたらいいな~なんて夢想をしていたら、休憩が終わってしまう~もうひと頑張り、仕事してきまーす(*・x・)ノ





rohengram799 at 17:23|この記事のURLComments(10)
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