過労死

2015年12月26日

色雲便りNo.19:ご安全に!

♪黄色と黒は勇気のしるし 24時間戦えますか~リゲイン、リゲイン、ぼくらのリゲイン
アタッシュケースに勇気のしるし はるか世界で戦えますか ビジネスマン ビジネスマン ジャパニーズ ビジネスマン


この歌が巷に流れていた時代、イケイケで何でも出来ちゃう、やっちゃうよ!という無謀な勢いがありましたね。今回改めて歌詞を読んだら「有給休暇に希望をのせて」とか「年収アップに希望をのせて」とかありました。そしてセリフも!! 「話がちがうじゃないか。ルールを無視した商談のすすめ方、私には許せん! YESか、NOか、ハッキリしてもらいたい」……「NOと言える日本人」とかもありましたねぇ。



『人は、生きるために働いている。だから、仕事で死んではいけないんだ』

 
沢村凜さんの『ディーセント・ワーク・ガーディアン』を読みました。 タイトルの「ディーセント・ワーク」とは、国際労働機関(ILO)が21世紀の目標として掲げるもので、作者は作中で主人公に「まっとうな」働き方という日本語訳が一番ぴったりすると言わせています。県庁所在地である地方都市の労働基準監督署に勤める主人公の三村全(たもつ)が、かつて同級生で同じ地元の警察署の刑事・清田と組んで、企業内で生じた事故や、その背後にある事件の真相を探っていく、6話連作短編集です。『ダンダリン101』という(原作:とんたにたかし・漫画:鈴木マサカズ)ドラマにもなったマンガがありましたが、労基官を扱った作品はめずらしいかも。


工場などで死亡事故が起きた場合、業務上過失致死で捜査するのが警察であり、労働安全衛生法違反で捜査するのが労働基準監督署の監督官。とはいえ事故はあってはならないもの。彼らの本分は事故の防止。工事現場からIT企業まで、人の働く場である限り主人公の三村は「柵の高さは十分か」「残業を強いていないか」など、監督また指導します。


零細の建設下請け会社の作業現場で起きた死亡事故では雇い主の安全指導が不十分だったことや、雇用者自身が安全対策を安易に考えていたことに無性に怒りを覚えました。きちんとヘルメットを被ってさえいたら死亡事故にはならなかったし、それをこそこそ小細工した仲間たちも許せないというか……。印刷会社に勤める夫の毎日の帰宅が遅いのを心配し、監督署に長時間残業の疑いがあると訴えた妻に至っては、自分が浮気をしているのでダンナも浮気をしているに違いない!で探偵がわりかよ(`Δ´)な内容でしたが、いかにもありそうな問題、事件にウンウン頷き、これはいけない!と正義感に燃えたり一方で諦めたりしたり……。三村の家族問題も出てきて、これはいらない!という感想もありましたが、私は息子と会話する場面を入れたのはよかったと思いました。



読み終わってから、こんな熱心な監督官ばかりではないでしょうが、どこかで誰かが働いている自分の姿を見守っていてくれるに違いない、というような気持ちになりました。今は年中無休で24時間営業の店とかも当たり前ですよね。自分が楽しく遊んでいる時に働いている人もいるんだなぁ、と考えた時に、特に誰に対してというわけでなくても「お疲れさまです」「ありがとう」「身体に気をつけて下さいね」と思ってくれている人がきっとどこかにいるはず……そんな風に思いました。そして自分もどこかで働いている人たちに感謝しなくては……と。



私は例年通り30日まで仕事です。皆さまもどうぞお身体に気をつけてストレスをためずに、日々「ご安全に!」お過ごし下さいませ。





rohengram799 at 20:10|この記事のURLComments(12)
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