備忘の果実 〜オスカー戯言日記〜

ようこそ゚+(人・∀・*)+。♪ 自分の好きなこと、興味のあることをチマチマと書いています。

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関東の梅雨入りは来週になるとか……雨の日はうっとおしいけれど、いつまでも梅雨入りしないのもなんだかなぁ、な気分になります。

読売新聞朝刊の編集手帳に長田弘さんの詩の一部が引用されていました。タイトルは「空と土のあいだで」。詩集『人はかつて樹だった』に収められているそうです。

https://www.msz.co.jp/book/detail/07229/





空と土のあいだで 長田 弘


どこまでも根は下りてゆく。どこまでも
枝々は上ってゆく。どこまでも根は
土を掴もうとする。どこまでも
枝々は、それを掴もうとする。
おそろしくなるくらい
おおきな樹だ。見上げると、
つむじ風のようにくるくる廻って、
日の光が静かに落ちてきた。
影が地に滲むように広がった。
なぜそこにじっとしている?
なぜ自由に旅しようとしない?
白い雲が、黒い樹に言った。
三百年、わたしはここに立っている。
そうやって、わたしは時間を旅してきた。
黒い樹がようやく答えたとき、
雲は去って、もうどこにもいなかった。
巡る年ともに、大きな樹は、
節くれ、さらばえ、老いていった。
やがて来る死が、根にからみついた。
だが、樹の枝々は、新しい芽をはぐくんだ。

自由とは、どこかへ立ち去ることではない。
考えぶかくここに生きることが、自由だ。
樹のように、空と土のあいだで。 




皆さま、どうぞ今週もご安全に!


俳句の季語で次の季節が近づいて来ていることを表すものに「春隣(晩冬)」「夏隣(晩春)」「秋隣(晩夏)」「冬隣(晩秋)」がありますが、夏が隣というのは、汗だくなオッサンと狭いベンチにふたりでいるような気分になって、暑苦しい気持ちになってしまいます〜ベタベタした肌の感じとか、想像しなくていいのにしてしまう💦

山田富士郎さんのこちらの短歌は、なんとなく怖くもあり、残酷さもあるけれど「生きるってこういうことだと気づいた少年の夏」というノスタルジー的なものもあり(あくまで私の鑑賞)好きです。

蝉をとらへ仔にあたへたる母猫の眼の金色の永遠の夏





さてさて……今日は「成人の日」。各自治体の成人式も予定されていると思います。新成人たちにこの質問をしたら、なんとこたえるのでしょう? 国語の教科書にも載っていたそうですが、読んだ世代なのかな? 絵本もありました。





「最初の質問」 長田弘



今日あなたは空を見上げましたか。

空は遠かったですか、近かったですか。

雲はどんな形をしていましたか。

風はどんなにおいがしましたか。

あなたにとって、いい一日とはどんな一日ですか。

「ありがとう」という言葉を今日口にしましたか。



窓の向こう、道の向こうに、何が見えますか。

雨の滴をいっぱいためたクモの巣を見たことがありますか。

樫の木の下で、あるいは欅の木の下で、立ち止まったことがありますか。

街路樹の木の名前を知っていますか。

樹木を友人だと考えたことがありますか。



この前、川を見つめたのはいつでしたか。

砂の上に座ったのは、草の上に座ったのはいつでしたか。

「美しい」と、あなたがためらわず言えるものは何ですか。

好きな花を七つ、挙げられますか。

あなたにとって、「わたしたち」というのは、だれですか。



夜明け前に鳴き交わす鳥の声を聴いたことがありますか。

ゆっくりと暮れていく西の空に祈ったことがありますか。

何歳のときの自分が好きですか。

上手に年を取ることができると思いますか。

世界という言葉で、まず思い描く風景はどんな風景ですか。



今あなたがいる場所で、耳を澄ますと、何が聞こえますか。

沈黙はどんな音がしますか。

じっと目をつぶる。すると何が見えてきますか。

問いと答えと、今あなたに必要なのはどっちですか。

これだけはしないと、心に決めていることがありますか。



いちばんしたいことは何ですか。

人生の材料は何だと思いますか。

あなたにとって、あるいはあなたの知らない人々にとって、

幸福って何だと思いますか。



時代は言葉をないがしろにしている。

あなたは言葉を信じていますか。






自分に問いかける時間、考える時間、大切だなと思いました。そして、私は「言葉の力」を信じています。

今朝はポソポソと小雨が降っていました。もう10月なので、太田裕美ちゃんの『九月の雨』ではなく中西保志さんの『最後の雨』を思い出します。


♪明日の君を救える愛は僕じゃない でもこのまま見つめている 言葉に出来ないのが愛さ 言葉では君を繋げない


ああ、なんてせつない(´;ω;`)




さてさて、秋といえばまず私的には「読書の秋」でしょうか、どこで見つけたのかわからないけれど、メモしてありました。


「紙魚ならば棲みてもみたき一書あり」 (能村登四郎)


「本を読むことが読書ではありません。自分の心のなかに失いたくない言葉の蓄え場所を作り出すのが、読書です。」(長田弘)



この前『罪深き緑の夏』を読みました。タイトルと表紙買いですわ(笑) 久しぶりに耽美系を読んだという感じ。


http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309416274/



それから以前読んだ『キャベツ炒めに捧ぐ』という本に桃を使った素麺?パスタ?が出てきたのですがを、実際それを作っている動画がありました!

https://book.asahi.com/article/11780294



『甘露梅―お針子おとせ吉原春秋 』(宇江佐 真理)の甘露梅。 青梅をしその葉で包み、砂糖漬けにした食品で、江戸の新吉原の茶屋で正月の配り物にしたという・・・どんなものかと気になっていたのだけれど、コチラも見つけた(*≧∇≦)ノ

http://yosiwarasaiken.net/moyou/kanrobai.html



最近は忘れっぽいので、こうして気がついた時に残しておかないと(^o^;)


久しぶりに長田弘さんの詩を読みました。春のお彼岸の頃にピッタリの詩なんでしょうが、会いに行くのに季節は関係ないかなと思って。私は寝る前にこっそり会いに行ったりしています。手ぶらですが、気持ちだけ持って。






『 花を持って、会いにゆく』 長田 弘



春の日、あなたに会いにゆく。
あなたは、なくなった人である。
どこにもいない人である。


どこにもいない人に会いにゆく。
きれいな水と、
きれいな花を、手に持って。


どこにもいない?
違うと、なくなった人は言う。
どこにもいないのではない。


どこにもゆかないのだ。
いつも、ここにいる。
歩くことは、しなくなった。


歩くことをやめて、
はじめて知ったことがある。
歩くことは、ここではないどこかへ、


遠いどこかへ、遠くへ、遠くへ、
どんどんゆくことだと、そう思っていた。
そうでないということに気づいたのは、


死んでからだった。もう、
どこにもゆかないし、
どんな遠くへもゆくことはない。


そうと知ったときに、
じぶんの、いま、いる、
ここが、じぶんのゆきついた、


いちばん遠い場所であることに気づいた。
この世から一番遠い場所が、
ほんとうは、この世に


いちばん近い場所だということに。
生きるとは、年をとるということだ。
死んだら、年をとらないのだ。


十歳で死んだ
人生の最初の友人は、
いまでも十歳のままだ。


病に苦しんで
なくなった母は、
死んで、また元気になった。


死ではなく、その人が
じぶんのなかにのこしていった
たしかな記憶を、わたしは信じる。


ことばって、何だと思う?
けっしてことばにできない思いが、
ここにあると指すのが、ことばだ。


話すこともなかった人とだって、
語らうことができると知ったのも、
死んでからだった。


春の木々の
枝々が競いあって、
霞む空をつかもうとしている。


春の日、あなたに会いにゆく。
きれいな水と、
きれいな花を、手に持って。



『世界はうつくしいと』


うつくしいものの話をしよう。
いつからだろう。ふと気がつくと、
うつくしいということばを、ためらわず
口にすることを、誰もしなくなった。
そうしてわたしたちの会話は貧しくなった。
うつくしいものをうつくしいと言おう。



風の匂いはうつくしいと。渓谷の
石を伝わってゆく流れはうつくしいと。
午後の草に落ちている雲の影はうつくしいと。
遠くの低い山並みの静けさはうつくしいと。
きらめく川辺の光りはうつくしいと。
おおきな樹のある街の通りはうつくしいと。
行き交いの、なにげない挨拶はうつくしいと。
花々があって、奥行きのある路地はうつくしいと。
雨の日の、家々の屋根の色はうつくしいと。
太い枝を空いっぱいにひろげる
晩秋の古寺の、大銀杏はうつくしいと。
冬がくるまえの、曇り日の、
南天の、小さな朱い実はうつくしいと。
コムラサキの、実のむらさきはうつくしいと。
過ぎてゆく季節はうつくしいと。
きれいに老いてゆく人の姿はうつくしいと。



一体、ニュースとよばれる日々の破片が、
わたしたちの歴史と言うようなものだろうか。
あざやかな毎日こそ、わたしたちの価値だ。
うつくしいものをうつくしいと言おう。
幼い猫とあそぶ一刻はうつくしいと。
シュロの枝を燃やして、灰にして、撒く。
何ひとつ永遠なんてなく、いつか
すべて塵にかえるのだから、世界はうつくしいと。


(長田弘)






どこかで聞いたような記事タイトルですが、日付がかわり、ワタクシの誕生日になりました~(*’ω’ノノ゙☆パチパチ

一つ数が増えましたが、四捨五入すればまだ50歳(笑) これから自分にとってたくさんの「うつくしい」を見つけて、空のお城をお宝(ガラクタ?)でいっぱいにしたいです♪





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