長谷川櫂

2021年08月28日

金涼雲便りNo.23:誰のために

朝の電車でときどき一緒になるひとと帰りの駅でまたすれ違う 牧野芝草


言葉は交わさないが、よく見かける人。一歩踏み出せば会釈をするくらいの仲にはなるのだが……。 たいていは他人のまま、いつか忘れてしまう人。人は人間関係の網の上で生きているが、永遠に結ばれない糸もある。 歌集『勾配』から。


8/25付読売新聞 長谷川櫂さんの「四季」から。

電車でなくても病院とか買い物とかお散歩とか……行きも還りもは少ないでしょうが、毎回「あの人だ」という出会いはありますね。

牧野芝草(まきのしそう)さんのこの歌集は先月発行されたばかりのようです。

http://rikkasyorin.com/syuppan.html



電車といえば新聞に【駅の放送を悪用 車いす女性痴漢 国交省、見直し要請】の見出しが目に入りました。

「国交省によると、鉄道では車いす利用者や視覚障害者が乗降する時、転落や転倒しないように駅員が介助し、出発の可否を車内の乗務員に伝えている。一部の事業者は、伝達に駅のアナウンスを使っており、他の利用者に、障害者らが乗っている車両や降車駅がわかることがある。」………これを悪用してくる痴漢をするなんて、信じられない! 許しがたい!

ネットニュースにもありました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/46e8ca171577e4494b655d748d6456949487a666


*****


コンビニに行ったらすでに中華まんがスタンバイしていて、スーパーでは秋の味覚のポップに秋の新作お菓子にハロウィンパッケージのお菓子が………ハロウィンって10月末だよね……?


今日も熱中症警戒アラートが千葉県には出ております。皆さまもこまめな水分補給を! (*・ω・)ノ



rohengram799 at 12:00コメント(2) 

2021年08月07日

金涼雲便りNo.7:山羊笑う

今日は立秋。台風の影響か、晴れていますが雲が多くていくぶん暑さがやわらいでいるような気がする……今まで暑すぎたので、いろんな感覚がおかしくなっている気がします。連日のオリンピック中継の「初対戦」は「初体験」に聞こえるし「楽譜」が「薬膳」に見えたり……3日に一度くらいの割合で昼間、急激な眠気に襲われるのはやはり年齢なのか、熟睡出来ていないからなのか(;´д`)


春は山笑う、夏は山滴る、秋は山装う、冬は山眠る……山羊笑うなんてないぞ !? なタイトルですが、本日の読売新聞・四季にあった大串章さん(*)の俳句から。


秋風に白鬚揺らし山羊笑う


鬚(ひげ) は あごひげなのでこの字ですね。
「髭」→ くちひげ
「鬚」→ あごひげ
「髯」→ ほおひげ

長谷川櫂さんの解説(?)
山羊が笑うのを最後に見たのはいつだったか。山羊はいつも笑っているが、大人になると悲しげな顔に見えてしまう。この句は子どもの心に帰って見た山羊の笑顔。それとも子どものころに見た山羊の笑顔の思い出。句集『恒心』から。


「恒心」とは人間として常に持つべき変わらぬ心の意味だそうです。中学の時「恒子(つねこ)」という名前の先生がいたことを思い出しました〜キラいだった (´∀`;)


「ひげ」つながりで『電車の中で』という西條八十の詩を最後に。



電車の中で


  釣革に吊(ぶらさ)がっていると、
  眼のまえに白い髭の老人が腰かけている、
  まっ白な、食塩のようにまっ白な、
  なんて美しい髭だ。

  わたしは考える、──
  自分もいつか老人になるだろう、
  あんな髭を持つようになるかもしれない、
  嵐のあとの朝の庭のような
  こころ静かな、懐かしい老年!
  その時、今のわたしを悩ませている
  彼女の思い出はどんな姿になるのだろう。

  釣革にさがりながら
  わたしはしみじみと想う、
  老年のわたしの白い髭のかげに
  雪の中の水仙の花のように
  はっきりと咲き出るであろう
  彼女の美しいおもかげを。──



(*) http://momotori.com/profile.html



rohengram799 at 09:20コメント(4) 

2021年05月14日

梅月雲便りNo.7:あいまい

今年は梅雨入りが早そうですね。季節が前倒しになっています。陰暦ではようやく4月になったというのに (;´д`)


子どもが高校時代に使っていた教科書(第一学習社 高等学校 現代文)に長谷川櫂さんの『季語について』という評論が載っているのですが


雨がちに端午ちかづく父子(おやこ)かな

石田波郷のこの句は陰陽どちらの端午だろうか。


とあって、5月になるといつも思い出します。「五月晴れ」はもともと梅雨の晴れ間のことだったそうですが、今は太陽暦5月頃の快晴れをいう言葉になっているし、私の好きな季語のひとつ「五月闇」も本来は田植えの時期、梅雨の長雨の時期の「五月……そう考えると、三十一文字の短歌はとても自由でわかりやすいなぁ、と思いますね(;´∀`) でもいろんなものを削ぎ落として季語が際立つ俳句もやはり捨てがたい……! 日本語のなんと罪深いこと! (笑)



言葉は本来あいまいなものである。
そのあいまいな言葉の意味を明確に定めてゆくのは文脈と状況。言葉が組み込まれる文脈と、言葉が置かれる状況、すなわち「場」だ。
俳句は十七字しかなくて、しかも、その中に切れを含む。文脈を拒絶することによって成立した詩型であるから、俳句の意味をはっきりさせるのは状況=「場」だけである。だから、例えば改暦によって「場」が移ろってしまえば、皐月も端午もみ夏も、俳句の言葉は、たちまち意味が揺らぎ、あいまいになってしまう。(P318〜319)



新しい季語も出てくるでしょうし、意味がわからない〜!という古い季語もあるし……「天皇誕生日」なんて時代で変わりますもんね。私の気持ちの中ではいつまでも「天皇誕生日は4月29日」のままなんですけど。


この教科書にはおなじみ?の『こころ』『舞姫』『山月記』の他に村上春樹の『七番目の男』が載っていたりして、時代を感じるのだけれど(平成18年だった)、今の教科書はまたもっと違うんでしょうねぇ。英語の教科書もそうなのかな? 中学生の頃、人物の名前はナオミとかアンディとかジョンとかだったけど、もっとハイカラな名前なのかしら?



「歳時記」について書かれたこちらをブログも興味深いものでした。

https://blog.goo.ne.jp/kanekuti3515/e/913a25da43a4e2e1b38da27d938383c2


rohengram799 at 16:00コメント(6) 

2021年04月19日

純陽雲便りNo.16:疑問符

「テクスチュアルハラスメント」なるものがあるらしい。ある文章に対し「女にはこんな文章は書けるわけがない」「男なのに女々しい表現ばっかり使う」などの性差別に当たる発言をしたり、男性作家と名乗っているのに裏では女性に書かせているに違いない、などの虚偽の噂を事実のように周囲に吹聴するような、嫌がらせ行為のことをいうそうです。


名前だけでは男女の区別がつかない作家さんていますが、その区別は必要なのか?という時代になっていますね。作家さんのプライベートは知ってしまうとなんだかなぁ…とへんな先入観を抱いて小説を読んでしまいそうで、ご自身がインタビューとかで語らない限りは別に知らなくてもいいかな、と。短歌や俳句などはそれを詠んだ時の状況を知ると理解が深まることはありますが…。たまに、えっ、このふたりは夫婦なの!? と驚くことも(;´∀`)


*****


読売新聞(3/26)四季で長谷川櫂さんが取り上げた、ねづときおさんの「花の宴一等席に車椅子」の句がとても素敵だなぁ、と思い、句集『せせらぎ』を検索してみたのだけれど、他の方のものしか見つからない……ねづときおさんも根津美術館とか鬼滅のネズコちゃんがワラワラ出てくる(´-ω-`)


「オカアサン」と鳴く鳥かなし十三夜(上村占魚)

こちらの俳句を見つけた時も、本当にオカアサンと鳴く(そう聞こえる)鳥がいるのか知りたい!と思いましたが、見つからない。自分だけにそう聴こえたってことなのかなぁ…と考えては、やっぱり気になる!の繰り返しです。

追記∶佐藤春夫「オカアサン」
オウムの話。おそらく前の飼い主のところで覚えた言葉を喋るようになる。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001763/files/55985_55495.html


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西條奈加さんの『まるまるの毬』を寝る前に一章ずつ読んでいます。和菓子職人の話なのでいろんなお菓子が出てくる……明日はかりんとうを食べよう!と思いながら布団に入ることになり、最近なぜか早起きに(笑)

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000212658


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今日は夏日になるとか? 皆さま、体調管理が大変だと思いますが、どうぞおだやかで楽しい1週間になりますように (*・ω・)ノ



rohengram799 at 07:50コメント(4) 

2020年12月06日

天泉雲便りNo.4:仲のよろしも 😃🍒😃

鳥も木もお互いの名を知らぬまま春夏秋冬仲のよろしも    



11月20日読売新聞の長谷川櫂さんによる「四季」・ 藤島秀憲歌集『短歌日記2019 オナカシロコ』より。



冬の日を浴びる木に、きょうも鳥が来て遊んでいった。どこでも見かける当たり前のこと。しかし、そんな当たり前が、かけがえのないことに思える瞬間がある。戦争や争いの絶えない人間界に長く住んでいると。歌集『オナカシロコ』から。




この「オナカシロコ」は「お腹が白い猫」のことらしいです。最初「オカシナコ(おかしな子)」と読んでしまった(;´д`)


https://fragie.exblog.jp/31897332/




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12月になりました。先月から引き続き天泉雲便りとして更新していきたいと思いますので、またどうぞよろしくお願いいたします ヽ(〃´∀`〃)ノ




rohengram799 at 09:25コメント(4) 
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