青みかん

2014年09月28日

白雲便りNo.22:青いみかん~『望月青果店』

『青みかん乙女ごごろの抜けきらず』(杉口麗泉)


スーパーに行ったら青いみかんが~そういえば小学校の運動会や遠足に青いみかんはかかせなかったなぁ……父が市場から仕入れてくれるのを待っていたあの頃が懐かしい!! まだまだウチもまわりの店もにぎわっていて、田舎の○○銀座と一部で言われていたとかいないとか(^。^;)



この前、小手鞠るいさんの『望月青果店』を読みました。盲目の夫と盲導犬の茶々と共にアメリカで暮らす50半ばの鈴子。実家は岡山で両親が青果店を営んでいます。母親の体調不良を見舞うため、5年ぶりに故郷へ帰省しようとしていますが、大雪になり家の中に閉じこもり状態に…おまけに停電!!
暗闇の中でよみがえる捨ててきたはずの故郷の記憶。


母親から何かひどい仕打ちをされた訳ではない。けれど、幼い頃に言われた母の一言はずっと胸に深く突き刺ったままで……。母と娘の関係だけでなく、田舎の閉塞感や都会や世界への憧れとか中途半端なままの初恋に夫との出逢いや渡米後の暮らしなどなど、内容は結構お修羅場だと思うのに、岡山の町並みや方言がすんなり入ってきて、さらりと読めてしまいました。これは私も田舎の子で同世代だからなのかしらん? 実家からの荷物のなかみや詰め方とか、父親との会話とか、祖母のこととか(私が生まれた時には祖父だけでしたが)……へんに話を盛り上げるでもなく、鈴子視点で淡々と書かれていたからかな? 


作者のあとがきもよかったし、キョンキョン(小泉今日子ちゃん)の解説もよかった(読売新聞の書評読んだ記憶がある)……でもやっぱり一番は、ラスト近く、ようやく電気がついて日本にいる母親らからかかってきた電話の場面でしょうか? 母娘の会話に親子の家族の年月とそのぬくもりを感じました。キョンキョンが「本を閉じた後、母親に会いたくなって車を実家に走らせた。」と締め括っていましたが、この言葉が本のすべてじゃないかと思います。


話の中には果物屋さんらしいウンチクがあって食べたくなったり(第1章から第7章までタイトルが全部「くだもの」)夫婦で花言葉ならぬくだもの言葉を作ってみたり。こういうふたりだけのヒミツというか暗号みたいなモノも、ちょっとモゾモゾしちゃう恥ずかしさがあるけど、いいなぁなんて思ってしまう( 〃▽〃) 安易にドラマ化、映画化してほしくない作品のひとつですわ。


まだ時期は早いですが、寒い夜にこたつに入ってみかんを食べながら、静かに読みたい一冊だと思います。本を閉じたら雪が降っていた、みたいなシチュエーションなら最高だと思います~ああ、こんな風に読まなかったのが悔やまれる……まだ読んでいない方は、私のかわりにお願いしたいです(´∇`)



9月最後の日曜日、皆さま、おだやかに過ごせますように。





rohengram799 at 11:50コメント(6) 
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