2013年10月31日

しらす雲便りNo.51:『愛しいひと』~10月の本棚

明日にはもう『十一月の扉』が開くのですね~あっという間に晩秋であります。


今月の最後の本は明野照葉さんの『愛しいひと』になりました。イヤミス作家と言われるみたいですが、ホラーではあるけれどイヤミスか?と私は思っています。この作品は家族の物語。一流企業に勤める夫が50歳を目前に失踪。専業主婦の睦子は自分に落ち度があったのかと戸惑い、悩む(-_-;)しかし生活していかねばならないので、仕事を探す~でもプライトというか見栄があり、ご近所の奥さまと顔を会わせてしまうレジとかイヤだと思う…このあたりはなんかワカル!なんとか働きに出たものの、試用期間でクビに。自分の考えの甘さ、覚悟のなさ、社会の厳しさに直面し、へこむ…ああ、これもわかる!みたいな…でやはり主人公の気持ちで読んでしまう!大学生の息子は勝手に家を出てひとり暮らしを始めるけれど、家賃滞納で追い出され連絡がとれず、ダンナはホームレスになっているらしいと情報が……。


エリートでないなら、わりとよくある家族ではないかと思うんですよね。突然、家出しないだけで(-.-)子どもが生まれたらやはりそちらの世話が優先になるし、だんだん年を重ねるといろんなことが億劫になってくるし…家庭に居場所のなさを感じるのはダンナだけではないと思うけれど。ダンナのお姉さんとのやりとりとか、リアルだし……年齢が近いだけにいろいろ考えてしまった( ̄~ ̄;)


タイトルが『大好きなひと』でも『大切なひと』ではなく『愛しいひと』なのは「友だち」でも「恋人」でもなく「家族」だからなのかなぁ~って私は思っています。そして「ひと」がひらがななのも、いろんなカタチの家族があって、それぞれを想うカタチがあっていいんだよ♪って言われているように勝手に解釈しています←おめでた過ぎるヾ(--;)





《10月の本棚》


「僕僕先生」(仁木英之)「桜ハウス」(藤堂志津子)「思い出コロッケ」(諸田玲子)「彼岸花」(宇江佐真理)「猫始末」(和田初子)「夜中の薔薇」(向田邦子)「六月六日生まれの天使」(愛川晶)「四文字の殺意」(夏樹静子)「鬼子母の末裔」(森村誠一)「ふたたびの加奈子」(新津きよみ)「猫鳴り」(沼田まほかる)「桜さがし」(柴田よしき)「ふちなしのかがみ」(辻村深月)「沈底魚」(曽根圭介)「ツリーハウス」(角田光代)「うたうひと」(小路幸也)「風の音がきこえませんか」(小笠原慧)「風待ちのひと」(伊吹有喜)「書店員の恋」(梅田みか)「空とセイとぼくと」(久保寺健彦)「残留思念捜査~オレ様先生と女子高生・莉音の事件ファイル~」(あいま祐樹)「愛しいひと」(明野照葉)




rohengram799 at 19:15コメント(9) | 月刊・空のお城図書館  

コメント一欄

1. Posted by さーまま   2013年10月31日 21:20
早速読まれたんですね。なかなかリアルでしたよね?
ちょっと自分を見つめなおした本です。 愛しいひとというタイトル。家族だからには納得です。
「愛しい」ばかりに目がいっちゃって、オスカーさんの言うように「ひと」がポイントかもしれませんね。
2. Posted by まろゆーろ   2013年10月31日 21:25
今月もお世話になりました!!
いつも優しいコメントを頂いてどれだけ毎日の励みであることか。
きっと多くの本と親しんでいるから引き出しがいっぱいあるオスカーさんなんだと思っています。

愛しい人は家族にだけ使える言葉かもしれません。ハタと気付かせてもらいました。
愛しい人の数が減らないように、今を幸せだと感謝できる「ひと」であり続けたいですね。

11月も変わらずにお付き合い下さいね。お体を大切に。
3. Posted by MEL   2013年10月31日 23:56
転落人生というと
わりと自分も元が高い山ではないとはいえ
送ってるっちゃ送ってるんですが
落ちて分かることもあるっちゃあるんですよね
まあ落ちないに越したことはないんですがw
4. Posted by 猫ムスメ   2013年11月01日 07:23
10月も沢山読まれましたね

諸田玲子・和田はつ子・柴田よしき・愛川晶…あたりは馴染みの作家さんなので嬉しかったです

私も今日あたり、10月に読んだ本をアップ予定です(^_^)v
5. Posted by なう60   2013年11月01日 07:34
おはようございます。
「年齢が近いだけにいろいろ考えてしまった」試練も人生の修行、順風満帆とは行かないこともありますがガンバの日々が「極楽浄土」の日々と考えて、本日も楽しく頑張りましょう。
6. Posted by 見張り員   2013年11月01日 07:59
おはようございます
山梨でお母様といい時間が持てましたか?

いつもたくさんの本をお読みになってるオスカーさんには脱帽です。お忙しいのに・・・見習うべきだと思っていますがなかなか・・・(^^ゞ

いよいよ今年も残り少ない、と言える時期に来ましたね。11月もどうぞよろしくお願いします。空気も冷たくなりました、お風邪など召しませんように!
7. Posted by ミューちゃん   2013年11月01日 16:40
5 オスカーさん、こんにちは
歌のタイトルや歌詞にも同じような事が言えますよね。「憂鬱」を「ブルー」と読んだりとか「大義名分」を「かいしゃく」と読んだりとか「地球」を「ふるさと」と読んだりとか…。

て、コレみんなサザンの「ピースとハイライト」に出てくる歌詞です(笑)。桑田さん、こういう言葉遊びが好きだからなぁ…(笑)。
8. Posted by オスカー   2013年11月02日 07:31
§さーまま様
読んでよかったです!いなくなったダンナの保険料をなんで私が払うの?と思うところとかリアル!ダンナの稼ぎで暮らしてきたのにね~そう思っちゃうんですよね

§まろゆーろ様
ただの同居人ではなく「家族」になるにはいろんなことを赦すことを学ばねば…かも。何年経っても難しいです

§MELさま
自分ひとりの暮らしと家族での暮らし……我慢のしどころが違うなぁ…としみじみな晩秋(笑)
9. Posted by オスカー   2013年11月02日 07:46
§猫ムスメ様
まだまだ時代小説が何冊も積ん読状態に~年内にはスッキリさせたい(笑)

§なう60様
自分を違う視点で見るための道具のひとつが本かもしれません。日々、勉強…しているつもりですぅ(~_~;)

§見張り員さま
お店番をしながらのんきに読書…は、昔の古本屋のオッサンくらいでしょう~私はスキマ時間がありすぎるんだと思います←サボリに近いかも(~_~;)

§ミューちゃん様
言葉って字面もですが.読み方ひとつでも印象が違って世界が拡がりますね~日本語は無限の宇宙です

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