先月買っておいた日本文藝協会編の『短篇ベストコレクション 現代の小説2013』を読み終わりました。 2014も買ってありますが、2008から出ているみたいなので他のも手に入れたいところです。


15人の作家さんの中で、初めましての方は草上仁さんと平山夢明さん、宮内悠介さん……平山さんはとにかくホラー系でチョ~怖い話しか書かない人だと思い込んでいたので、意外にホッコリした作品でいい意味で拍子抜けでしたわ。朱川湊人さんの『花まんま』という短編集にある「トカビの夜」をちょっと思い出しました。


さて、タイトルにした『最後のお便り』は家族小説をたくさん書いている森浩美さんの作品で、一番最後に収められています。主人公は昔人気だった男性アナウンサーで今は『こころの焚き火』というラジオ番組を担当しています。しかし5年近く続いた番組も今週で打ち切りに…。最後の生放送直前に姉から入院中の母親が危篤の連絡が入ります。放送終了後に駆けつけますが、間に合わず……しかし、なぜ夜中近くに母は病室ではなく廊下で倒れていたのか?


夜遅くからのラジオをガサゴソしながら聞くのは同室の人に悪いからと(個室は寂しいからと四人部屋に)カセットテープに録音してくれるように頼んでいました。しかし、母親はずっと自販機コーナー横のベンチに座り、オンタイムでラジオ放送を聴いていたのです。その日は夕方から急に冷え込んでいました。


番組の最後にはいつもリスナーからのお便りを読む主人公。母親とふたりきりにしてもらった治療室で、まだ温もりの残る耳元に、息子の「最後のお便り」を届けるのです……ρ(・・、)



作品ごとの短い解説が巻末にありますので、興味のある作品だけを読まれるのもよいかと思います。「5分で読める!」とはいきませんが(笑)



昨日は仕事帰りに何冊か本を買ったのですが、その中の一冊のことも少し……ただ、葬儀関係で内容もキツいものがありますのであまり……でも知ってもらいたい、みたいな感じなので、それでも!!……という方はどうぞ次のページへm(__)m



《追記》
この記事で「2230」だった~ゾロ目を祝うつもりが過ぎていたとは……次は「3333」! 『最後のお便り』はまだまだ先の予定なのです。よろしくお願いします(;^_^A
《ママが遺体にキスできるように。それが彼らの仕事。国境を越えて遺体を家族のもとへ送り届けるのが国際霊柩送還士の仕事。日本初の専門会社で働く人々と遺族の取材を通して、筆者は人が人を弔うことの意味、日本人としての「死」の捉え方を知る。》


第10回(2012年)開高健ノンフィクション賞受賞作です。海外で亡くなられた方のご遺体は貨物扱いになってしまうのか…とニュース映像で見ていて、なんかイヤだな、くらいの気持ちしかなくて……その後はご家族のもとに帰りお葬式をあげて供養されて……と思っていました。だからこんな現実があるなんて……と初めから衝撃でした。


現地で交通事故にあった日本人男性の遺体は裸のままで柩に。きちんとしたエンバーミング(防腐処理)も施してない。頭部の解剖痕はホチキスで何ヵ所か留めてあるだけ。染みだす体液を吸収させる意図なのだろう。柩の中には遺体とともに50ロールほどのトイレットペーパーが乱雑に詰め込まれているなんて……。もうあまりにショックでしばらくは先が読めなかったです。今も少し読んでは休み……で正直、いつ読み終わるのかわかりません。でも自分の知らないところでこういう仕事をしている人たちがいるということ、死をビジネスにするのかと批判する人たちもいるのでしょうが、誰かがなんらかの体制を整えないともっと悲惨な状況がずっと続いていたということですよね。


読書メーターをみたら、たくさんの方が読んでいて、ああ、私ったら遅い……と思いました。こういう本って読むのに勇気がいるといったらへんですが、読む方もしっかり受けとめる覚悟がないとダメだなと感じました。すでに読まれた方々のブログもたくさんありました。


http://d.hatena.ne.jp/fujipon/mobile?date=20130123



こちらは出版社の記事です。

http://www.shueisha.co.jp/shuppan4syo/24nen/outline01.html



今度から少しずつノンフィクションも読んでいこうかと考え中……皆さま、どうぞよい1日を!!