2015年01月09日

福雲便りNo.7:幸福の実

「武士は相身互い」なんて言葉がありますが(武士という同じ立場にあるのだから、武士同士は互いに助け合って協力し合わねばならないということ。転じて、同じ境遇や身分にある者は互いに助け合う気持ちが大事だということ)「相身互い」は「相身互い身」の略だそうで……と大変前ふりが長くなりましたが、今日は中條ていさんの『アイミタガイ』を読んでいます。カタカナなので、一瞬イヤミスの女王・真梨幸子さんの『アミダサマ』に見えてしまいます((((;゜Д゜)))←未読ですけど。


毎朝同じ電車の同じ車両に乗る会社員の澄人。同じように定刻に出会うおじさんと帰宅電車で遭遇。自分の目の前で疲れて眠りこける「定刻の王」(こういうアダ名ってつけたくなりますよね)は降りるべき駅に近づいても目をさます気配がない! 自分の降車駅は2つ先、口も聞いたことがなければ会釈もしたことがないオッサンではあるが知らん顔をするのは……出来ない! 彼は「手がすべり」自分の読んでいた読んでいた文庫本をオッサンの膝におとしてしまう……目覚めたオッサンは無事に降車。そしてホームから澄人に向かい手刀でお礼を伝えるのでした……下手な芝居をわかっていたのね(^^;) コレが最初の話です。


私が好きなのは、次の『幸福の実』。トラブルメーカーになりつつあるホームヘルパーの範子は上品なおばあさんのところの担当にかわりました。お家にはピアノがあるのに、おばあさんはピアノの話をしない。もともと口数の多いタイプではないのですが。ある出来事をきっかけに、おばあさんの想いを知ることになります。海外留学中に戦争が始まり帰国。代用教員として働いていた時に出兵者(教え子の兄たちだった)の壮行会でピアノを弾いたことをずっと後悔していて、人前でピアノを弾くことを禁じていたのです……。



傍目には平穏に過ごしているように見えても、やはり辛く悩み、じっと立ち止まってしまう。でも、見知らぬ人のひとことや、誰かの行動が先への一歩を踏み出す力を与えてくれる、目の前の霧をとりはらって新しい世界をみせてくれる。他の人からすれば「そんなこと」かもしれないけれど……野の花に勇気をもらうような、そんな出逢いの短編集だと思います(まだ半分読んだだけですが)。ヘルパーの範子さんのこの気持ち、好きだなぁ(´∇`)


『幸せって、きっと日々の果実なんだわ。どこかになったのをもぎとってくるのじゃなくて、自分の枝に咲いた小さな花を一生懸命実らせて、やっとこの実を受け取るのよ。日々の苦労や努力が養分となり、こぼした涙でこの実は熟す。』



実といいますと……「ロウバイの実に狼狽(;・∀・)」というほどではありませんが、蝋細工のようなあの花の実が、コレなのか……とちょっと想像できなかったので、皆さまもご覧下さいませ。

https://blog.goo.ne.jp/tamahana1112/e/feb0acff1405b56798da1a8e21d690bd

http://www.hana300.com/roubai3.html



明日から三連休の皆さま、風邪をひかないように楽しくお過ごし下さいませ(´ー`)ノ





rohengram799 at 17:14│Comments(14)空のお城図書館 

この記事へのコメント

1. Posted by トリテン   2015年01月09日 19:25
幸せは日々の果実・・・そうですね。
待っていても誰も取って来てはくれません。
人様の育てた幸せも、自分のものではありませんね。

蝋梅の実に狼狽しました(笑)
花は知っていても、実の実物を見たことはないと思います。
2. Posted by めぐのりあ   2015年01月09日 20:36
あけましておめでとうございます(遅)
こちらにうかがって素敵な本を教えていただきました。
是非とも読んでみたいです。
ウチの実家に蝋梅の木があり、花の後いつも「変な物がついてるなぁ」と思っていました。
ずっとそのままなので茶色くなって気持ち悪いんです。
虫の何か?とか釈然としませんでしたが実なんですね。
ほんと知らないと狼狽します。

3. Posted by 見張り員   2015年01月09日 21:50
こんばんは
幸せは日々の果実。
本当にそうだなあと思いました。たなぼた的に手に入ってくるものではない、毎日の積み重ねの中に幸せの種はあるんですね。
私も大きな幸せの果実の結実をゆっくりと待つことといたしましょう^^。

寒いですね、どうぞ御身大切にお過ごしくださいませね。
4. Posted by まろゆーろ   2015年01月09日 22:37
どれもこれも人生の小さなドラマのように美しいですね。
幸せは日々の果実。読んでみたくなりました!!

人それぞれの運命。
定められた(のさった)運命を大分の老人は「のさりごと」と言います。
最近、自分もそののさりごとが身に沁みるようになりました。
背中がやたら小さくなった母。のさりごとを堪えながら今も元気でいてくれることに感謝です。
オスカーさんも素敵な運命でありますように。そして日々異なる幸せの果実を愉しめますように。

5. Posted by なう60   2015年01月10日 07:47
おはようございます。
『幸せって、きっと日々の果実なんだわ。どこかになったのをもぎとってくるのじゃなくて、自分の枝に咲いた小さな花を一生懸命実らせて、やっとこの実を受け取るのよ。日々の苦労や努力が養分となり、こぼした涙でこの実は熟す。』納得です。加齢とともに人生は、日々修行、修行の日々が常楽我浄の世界、本日も楽しく修行しましょう。
6. Posted by ミューちゃん   2015年01月10日 16:33
5 オスカーさん、こんにちは
この記事を見て僕は、さんまさんの名曲幸せってなんだっけを思い出しました(笑)幸せって、もしかしたら自分では気がついてない物…だと僕は思ってます
7. Posted by 猫ムスメ   2015年01月11日 18:34
いいですねぇ~手刀を切る(笑)。私も長年電車通勤をしているのでその光景が目に浮かぶようです。

都会の電車は本数が多いし壮絶な混み具合なので“毎日この電車のこの車両のこの位置で会う人”っていませんよね  でも田舎だと本当にあります。
私は高校が遠かったので2年間電車通学をしましたが、身延線・東海道線共に顔ぶれが決まってましたw  そして私たち女子高生4人組はかなり目立っていたようで「いつも英単語帳片手にブツブツ言っている変な子たち」として認知されていたようです。

数年後、4人のうち1人がたまたま同じ電車で通学していた元・男子高校生と会い、そう言われたそう(いつも電車で見てました・・・と)。そして、2人は結婚しました。嘘のような本当の話です。
8. Posted by オスカー   2015年01月11日 23:19
§トリテンさま
自分にはどんな実がなっているのか、いやまだ花盛りかも(≧∇≦)などと図々しく考えながら暮らしています。
ロウバイにいろんな種類があるのは知っていましたが、あの実は……ショーゲキでした!!
9. Posted by オスカー   2015年01月11日 23:21
§めぐのりあ様
今年もよろしくお願いいたします。ブログにうまく接続出来なくてコメントも残せずスミマセン!
ロウバイの実、小さくて可愛らしいイメージがあたのに……(~_~;)
10. Posted by オスカー   2015年01月11日 23:28
§見張り員さま
この物語に出てくるおばあさんはとっても上品でステキなんです。こういう老婦人になりたい……けれど梅干しばぁさん一直線かも(;^_^A
11. Posted by オスカー   2015年01月11日 23:31
§まろゆーろ様
>のさりごと
いい言葉の響きです。生まれ育った場所のものは食べ物でも言葉でも自分の力になる気がします。
あまーい禁断の果実をたくさん実らせたい欲望がチラリ…な私です( 〃▽〃)
12. Posted by オスカー   2015年01月11日 23:36
§なう60様
今読んでいる本の中に「人生に迷ったら昔話を読みなさい」とおじいさんに諭されたちょっとヘタレな青年が出てきます。難しい自己啓発本よりずっと昔からの言い伝えをよく考えるのもよい修行かもしれないですね。
13. Posted by オスカー   2015年01月11日 23:39
§ミューちゃん様
「シアワセ」にこだわっているうちは、なかなか実感出来ないものかも……ささやかなウレシイ!を大切にしたいですね(´∇`)
14. Posted by オスカー   2015年01月11日 23:46
>そして、2人は結婚しました。
スゴい~本当にあるんですね!! これは子どもに話して聞かせたいなれそめですわ(^.^)
タイトルが何故カタカナなのかと思ったら、最後の話に「I meet a guy」って聞こえた~って文がありました。聞き慣れないからそうなりますね。

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