2015年06月14日

草雲便りNo.14:お江戸・バルバロッサ

『赤ひげ横丁―人情時代小説傑作選―』(池波正太郎・山本周五郎・菊地秀行・乙川優三郎・杉本苑子)を読み終わりました。久々の時代小説アンソロジーです。


菊地さんは時代小説のイメージはなかったのですが、なかなか……『介護鬼』という作品でしたが、妻を介護するダンナのひとりよがりなところとか現代の問題を江戸時代に移したという感じでした。もちろんホラー的な要素もあり、他の作品も当時の医療や病気に対しての庶民の認識とか……いろんなことを考えさせられました。


http://www.shinchosha.co.jp/book/139728/



さてさて、今は「赤ひげ先生」「赤ひげ薬局」と言えばまむしドリンクやらすっぽんエキスのイメージがありますが(^o^;)もとは山本周五郎の『赤ひげ診療譚』に登場する赤いあごひげの医師なんですよね。私は未読で映像化された作品も見ていないのですが、三船敏郎の赤ひげ先生姿は雑誌などで見ています。


この小説のモデルとなった人物は小川笙船(おがわ しょうせん)という江戸時代の町医者で漢方医。寛文12年(1672年)???宝暦10年6月14日(1760年7月26日)、江戸の小石川伝通院前で開業。貧困者や身寄りのない者のための「施薬院」を設置することを求める意見書を目安箱に投書し、徳川吉宗に江戸市中に施薬院を設置させた人物。


小石川御薬園内に養生所が設立され、笙船は肝煎に就任。これは「享保の改革」における下層民対策のひとつとされ、幕末まで140年あまり江戸の貧民救済施設として機能しました。『大岡越前』によく出てきましたね(笑) やがて西洋医学校に吸収され、明治政府が接収。今は小石川植物園として親しまれていますが、正式には「東京大学大学院理学系研究科附属植物園」……長いっ!! 「養生所」の遺構としては「養生所井戸」があるそうです。


豊島区の雑司ヶ谷霊園に彼のお墓があります。この霊園は東京都営の共同墓地で、夏目漱石の小説『こゝろ』の舞台になっていると言われているらしい……他にも多くの著名人がこの霊園で眠ることでも有名で(泉鏡花・小泉八雲・サトウハチロー・竹久夢二など)、管理事務所には「都立雑司ヶ谷霊園に眠る著名人の紹介パンフレット」なるものが用意されているとか……墓マイラー(http://grave-mylar.com/)には馴染み深い場所というより……庭だったりして( ̄▽ ̄;)



養生所を調べていたら「解剖人墓」というのが出てきました。北千住駅近くの清亮寺にあります。墓碑には「明治初年日本医学のあけぼのの時代明治三年八月当山で解剖が行われました。……」とあり、その下に解剖された11名の法名・没年月日・出身地・俗名が刻まれているそうです。他にも「医跡」とよばれるものがありました。全然知らなかった……!!


《東京の医跡》
http://www.iryokagaku.co.jp/frame/09-webik/09-webik-0402/0402iseki.html



この前、はじめて一話まるまる『Dr.倫太郎』をリアルタイムで見ましたが、、ひどいドラマですね~あんな精神科医はいないだろ?って怒りよりもあきれてしまいました。患者とプライベートで付き合い過ぎでしょう、自宅にいったりお互いの電話番号を知っていたり……あり得ないだろ~?の連発でした(-。ー;) 医療マンガは最近全く読んでいませんが、『ブラック・ジャック』『ブラック・ジャックによろしく』『ドクターK』『Dr.クマひげ』『ゴッドハンド輝』など好きでした~!



日付がかわってしまった……皆さまは、心晴れ晴れ! な日曜日にして下さいませ(  ̄ー ̄)ノ





rohengram799 at 00:06コメント(12) | 医療・臓器移植・介護・福祉関係 | 空のお城図書館 

コメント一欄

1. Posted by きょろん   2015年06月14日 01:08
「バルバロッサ」ってイタリア語で「赤ひげ」の意味なんですね。
そうか、だから赤毛のキルヒくんの艦がバルバロッサなんだ!
と今さら気づきお恥ずかしい限りです・・・(^_^;)
2. Posted by 猫ムスメ   2015年06月14日 06:18
「赤ひげ横丁」、以前読みました。なかなか粒揃いのアンソロジーだったと記憶しています。


そして「赤ひげ先生」ですが、私は逆に、本を読み映像を見ていないパターン だからあくまで原作のイメージですが、けっこう暗いです。もう少し人情モノ的なホノボノした小説を想像していたので結構意外でした 大岡越前に登場する小石川養生所&伊織先生を想像すると全然違いますよ(笑)


昨晩は寝るまでの間に実家保存本の1つ「剣客商売」を丸々一冊読んでしまいました。何度も読んでいるのに面白くて、途中で止められません。改めて池波先生の偉大さを実感です。
3. Posted by HyperChem   2015年06月14日 11:36
時代劇で登場する医療風景で、猿ぐつわをして
治療や手術をしているのがありますが、ゾッと
しますねぇ。
タイでは、病院の中で薬草を栽培しているそう
ですが、昔の日本と似てますね。
4. Posted by ミューちゃん   2015年06月14日 16:53
5 オスカーさん、こんにちは
今はもう、どのドラマを観てもツッコミどころ満載だから、もう僕はドラマをあまり観ないですね(笑)でも「猫侍」は観てます(笑)このドラマは一応、カテゴリーでは時代劇なんだろうけど、主演の北村一輝さんのコミカルな演技も面白いから観てられるんですよね(笑)
5. Posted by ゆちあ   2015年06月14日 21:14
こんばんは。お久しぶりです。
医療は昔と今じゃかなり違いますよね。倫太郎は見ていますよ~。まぁ医療ドラマなんてほとんど
そんなものかなと思います。精神科医は昔もいたのでしょうね。でも今ほどメジャーではないでしょうね。
6. Posted by オスカー   2015年06月15日 00:21
§きょろん様
『全艦出撃』という銀英同人誌アンソロジーに《江戸をキルヒー》というマンガがありました~おハルさんが「余のため人のため」と言ってましたわ(笑)
7. Posted by オスカー   2015年06月15日 00:26
§猫ムスメ様
『赤ひげ先生』って割烹着姿のクマのイメージがあります(笑) 時代小説アンソロジーには『鬼平』や『剣客商売』の作品がよく入っています。バラバラでなく通しで読むようにしたいと思います~いつになるかしら(;^_^A
8. Posted by オスカー   2015年06月15日 00:29
§HyperChemさま
薬草園って医学系の時代小説には必ず出てくるような……。 麻酔なしの手術場面はこちらが失神しそうです!
9. Posted by オスカー   2015年06月15日 00:31
§ミューちゃん様
まゆゆのドラマもキャストよりシナリオがどーも……という感じがしました。あと原作本を売ろう!というのがありありと感じられてイヤでしたね
10. Posted by オスカー   2015年06月15日 00:38
§ゆちあ様
専門学校在学中にカウンセリングの授業があったり、実際患者さんを診察している先生の話もきいていたので、えーっ、あり得なくない?とスゴい違和感が……! ダンナは『天皇の料理番』は好きみたいです(笑)
11. Posted by なう60   2015年06月15日 08:21
おはようございます。
「小石川御薬園内に養生所」小川笙船(おがわ しょうせん)という江戸時代の町医者で漢方医の意見書に徳川吉宗が対応、名漢方医に名将軍ですね。勉強の朝でした。

「日付がかわってしまった」若さそして元気の証左です。頑張りの「オスカ-さん」に感嘆の朝です。しかしながら
「つけは、必ず来る。」体調管理にも留意してガンバです。
12. Posted by オスカー   2015年06月15日 10:15
§なう60様
仕事のある日は帰宅が遅く、ほっと一息(笑)していると日付がかわってしまいます 今日は休みなのでのんびり過ごす予定です♪

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