2016年03月17日
春雲便りNo.17:ひかり
朽木祥さんの『八月の光・あとかた』を読み終わりました。朽木さんは広島市生まれ。被爆二世だとは知りませんでした。
『雛の顔』は、その日勤労奉仕をさぼって命拾いをした女性と、それを責めた女性、それぞれの心の変化とその後の人生が描かれ、続く『石の記憶』では、広島平和記念資料館に展示され、原爆の悲惨さを伝える「白い石段の影」にまつわる物語になっています。『水の緘黙』では、苦しむ人を助けられずに一人逃げた少年の自責の念が救われるまでの物語。『銀杏のお重』では、戦争で女性だけとなった家族が、戦争を、原爆をどう生き抜いたかが、『三つ目の橋』は、原爆で父と弟を、そして原爆による放射能症によって母を失った姉妹の物語です。
『石の記憶』では銀行の階段に残った黒い、小さな影を少女が見つける場面があります。「母の影が、石段に腰かけている。」
光子は石段をさすった。何度も何度もさすった。
夏の夕方、石段はまだほのかに温かかった。
ほっぺたをくっつけると、母の膝で昼寝した縁側にいるような気がした。(略)
光子は石段にほっぺたをくっつけたまま、長いあいだ、そこにそのままでいた。
『水の緘黙』ではK修道士が少年に書いた手紙が心に響きました。
「あなたが思い出せば、誰かの苦しみや悲しみもまたその人たちだけのものではなく、みんなのものとしてきっと記憶されていくでしょう。
私のようなものでも、そのような記憶に支えられて、私だけの記憶を、いつの日か、“私たちの記憶”として語ることができる日が来るかもしれません。」
《ヒロシマを物語るということ》というタイトルのあとがきは「二〇一一年にフクシマの原発事故が起こったとき真っ先に考えたのは、私たちがこれまで十分にヒロシマを伝えてこなかったのでこんなことが起きてしまったのだということでした。」という書き出しで始まります。
「三十万の死があれば三十万の物語があり、残された人びとにはそれ以上の物語があります。この本に書いたのは、そのうちたった五つの物語にすぎませんが、物語の登場人物たちは過去の亡霊ではありません。未来の私たちでもあり得るのです。ヒロシマを記憶するということは、未来に二度と同じ過ちを繰り返さないよう警戒することと同義でもあります。五つの小さな物語がわずかでも読者の皆さまの心に落ちて、ヒロシマを記憶して下さることを祈っています。」
特別に難しい言葉を使っているわけでも悲惨な状況をこれでもか!と書いているわけではなくて……『石の記憶』は特に小学生の時に教科書で読みたかったな、と思いました。
さてさて……私がこのブログを始めたのが2010年3月17日でありました。毎日書くという意気込みは歳月とともに失速気味でありますが、これからも読んだ本のこと、マンガのこと、新聞や雑誌で見かけたワタクシ的にオモローなことについて、あれこれ書いていきたいと思います。またお付き合いいただけると嬉しいです。いつもありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします(^.^)(-.-)(__)
『雛の顔』は、その日勤労奉仕をさぼって命拾いをした女性と、それを責めた女性、それぞれの心の変化とその後の人生が描かれ、続く『石の記憶』では、広島平和記念資料館に展示され、原爆の悲惨さを伝える「白い石段の影」にまつわる物語になっています。『水の緘黙』では、苦しむ人を助けられずに一人逃げた少年の自責の念が救われるまでの物語。『銀杏のお重』では、戦争で女性だけとなった家族が、戦争を、原爆をどう生き抜いたかが、『三つ目の橋』は、原爆で父と弟を、そして原爆による放射能症によって母を失った姉妹の物語です。
『石の記憶』では銀行の階段に残った黒い、小さな影を少女が見つける場面があります。「母の影が、石段に腰かけている。」
光子は石段をさすった。何度も何度もさすった。
夏の夕方、石段はまだほのかに温かかった。
ほっぺたをくっつけると、母の膝で昼寝した縁側にいるような気がした。(略)
光子は石段にほっぺたをくっつけたまま、長いあいだ、そこにそのままでいた。
『水の緘黙』ではK修道士が少年に書いた手紙が心に響きました。
「あなたが思い出せば、誰かの苦しみや悲しみもまたその人たちだけのものではなく、みんなのものとしてきっと記憶されていくでしょう。
私のようなものでも、そのような記憶に支えられて、私だけの記憶を、いつの日か、“私たちの記憶”として語ることができる日が来るかもしれません。」
《ヒロシマを物語るということ》というタイトルのあとがきは「二〇一一年にフクシマの原発事故が起こったとき真っ先に考えたのは、私たちがこれまで十分にヒロシマを伝えてこなかったのでこんなことが起きてしまったのだということでした。」という書き出しで始まります。
「三十万の死があれば三十万の物語があり、残された人びとにはそれ以上の物語があります。この本に書いたのは、そのうちたった五つの物語にすぎませんが、物語の登場人物たちは過去の亡霊ではありません。未来の私たちでもあり得るのです。ヒロシマを記憶するということは、未来に二度と同じ過ちを繰り返さないよう警戒することと同義でもあります。五つの小さな物語がわずかでも読者の皆さまの心に落ちて、ヒロシマを記憶して下さることを祈っています。」
特別に難しい言葉を使っているわけでも悲惨な状況をこれでもか!と書いているわけではなくて……『石の記憶』は特に小学生の時に教科書で読みたかったな、と思いました。
さてさて……私がこのブログを始めたのが2010年3月17日でありました。毎日書くという意気込みは歳月とともに失速気味でありますが、これからも読んだ本のこと、マンガのこと、新聞や雑誌で見かけたワタクシ的にオモローなことについて、あれこれ書いていきたいと思います。またお付き合いいただけると嬉しいです。いつもありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします(^.^)(-.-)(__)
コメント一覧
1. Posted by ミューちゃん 2016年03月17日 17:14
オスカーさん、こんにちは
ブログ6周年ですかおめでとうございます僕も28日に4周年を迎えます。冬から春に掛けては僕にとって、もっとも辛い時期ですオスカーさん、季節の変わり目で体調を崩さないよう気をつけて下さいね
ブログ6周年ですかおめでとうございます僕も28日に4周年を迎えます。冬から春に掛けては僕にとって、もっとも辛い時期ですオスカーさん、季節の変わり目で体調を崩さないよう気をつけて下さいね
2. Posted by 猫ムスメ 2016年03月18日 07:10
6周年、おめでとうございます\(^^)/
お互い、コンスタントに書いているブログとしては老舗ですよね(笑)。
これからものんびり楽しく続けましょう😊
ちなみに私はブログをいつ始めたのかもわからなくなりつつあります…💧
お互い、コンスタントに書いているブログとしては老舗ですよね(笑)。
これからものんびり楽しく続けましょう😊
ちなみに私はブログをいつ始めたのかもわからなくなりつつあります…💧
3. Posted by なう60 2016年03月18日 08:52
オスカ-さん
おはようございます。
ブログ開設6周年、おめでとうございます♪なうの誕生日と同じ、何かの不思議な縁を感じます。益々のブログの充実、発展を
祈念致しております。
おはようございます。
ブログ開設6周年、おめでとうございます♪なうの誕生日と同じ、何かの不思議な縁を感じます。益々のブログの充実、発展を
祈念致しております。
4. Posted by オスカー 2016年03月18日 10:05
§ミューちゃん様
ミューちゃん様とのお付き合いも長くなりました。またよろしくお願いいたします。昨日はイルカの『君は悲しみの』が突然うかんできました。昔聴いた音楽って忘れないですね。
ミューちゃん様とのお付き合いも長くなりました。またよろしくお願いいたします。昨日はイルカの『君は悲しみの』が突然うかんできました。昔聴いた音楽って忘れないですね。
5. Posted by オスカー 2016年03月18日 10:08
§猫ムスメ様
数えやすい2010年からはじめてよかったと思っています(笑) あれも書きたいこれも書きたい時期と全く何もない時もあり……今月は久々に1ヶ月完走を目指したいと思います~またよろしくお願いいたします!
数えやすい2010年からはじめてよかったと思っています(笑) あれも書きたいこれも書きたい時期と全く何もない時もあり……今月は久々に1ヶ月完走を目指したいと思います~またよろしくお願いいたします!
6. Posted by オスカー 2016年03月18日 10:11
§なう60様
私の第2の誕生日だと思っています~まだ10才にもなっていません←図々しい(笑) ご縁があってのお付き合い、嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。
私の第2の誕生日だと思っています~まだ10才にもなっていません←図々しい(笑) ご縁があってのお付き合い、嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。
7. Posted by まろゆーろ 2016年03月18日 10:54
6年目、おめでとうございます。この6年間にはご自身にも日本にもいろいろなことがありましたね。
さまざまな歴史と共に歩めるブログ。オスカーさんのブログもいつの間にやら「私たちのブログ」になっています。
>これからも読んだ本のこと、マンガのこと、新聞や雑誌で見かけたワタクシ的にオモローなことについて、
あれこれ書いていきたいと思います。
是非とも続けて下さい。さまざまな言葉の語り部としてのオスカーさんが、
いつか言霊を持つ特別な人になってもらいたいなと常に思っています。
言葉を自在に扱い、そして伝えることの大切さを是非とも生涯の役目だと思って頑張っていただきたいなぁ。
お体をいといながら益々の活躍を祈っています。
さまざまな歴史と共に歩めるブログ。オスカーさんのブログもいつの間にやら「私たちのブログ」になっています。
>これからも読んだ本のこと、マンガのこと、新聞や雑誌で見かけたワタクシ的にオモローなことについて、
あれこれ書いていきたいと思います。
是非とも続けて下さい。さまざまな言葉の語り部としてのオスカーさんが、
いつか言霊を持つ特別な人になってもらいたいなと常に思っています。
言葉を自在に扱い、そして伝えることの大切さを是非とも生涯の役目だと思って頑張っていただきたいなぁ。
お体をいといながら益々の活躍を祈っています。
8. Posted by オスカー 2016年03月18日 13:29
§まろゆーろ様
ブログをはじめたことにより、たくさんの方に出会えて、たくさんのオモローに出会えて、ワタクシの知(痴?)層もだいぶ積み上げられてきたのではないかと…たまにへんな化石が埋まっているかもしれませんが(笑)どうぞこれからもおバカさんな弟子を見捨てないで下さいませ。よろしくお願いいたします。
ブログをはじめたことにより、たくさんの方に出会えて、たくさんのオモローに出会えて、ワタクシの知(痴?)層もだいぶ積み上げられてきたのではないかと…たまにへんな化石が埋まっているかもしれませんが(笑)どうぞこれからもおバカさんな弟子を見捨てないで下さいませ。よろしくお願いいたします。