2016年04月27日

暮雲便りNo.30:ベーコン……部(^^;)(;^^)

オタ息子が買ってくれた井上荒野さんの『ベーコン』は全編に料理が絡んだ短編集です。一番最初は「ほうとう」でした(笑) なんていうのでしょう~登場人物みんなが相手に深く立ち入らないようにしている風に見せて、実は一番近い場所(心理的に)にいるような……今まで読んだことのない、なんとも不思議な感覚の話ばかりでした。


「煮こごり」は日曜日にいつもやって来た愛人が来ないわ、どうしたのかしら、と思っていたら、サファリランドで虎に襲われたというニュースが流れ、その人が待っていた男性だった(°Д°)……という……なぜそこにいたのか、自家用車から降りたのかは不明。謎過ぎるはじまりに、意外な展開……おっさん、他にも愛人がいましたっ! お子さまにはわからないだろうなぁ、というか、実力派の女優さんたちに舞台で演じてもらいたいかも。その場合はセットは限りなくシンプルにして照明なんかでうまく場面転換してほしい(笑)



「トナカイサラミ」も結構好きな作品なんですが、こちらも冒頭からハテナ(・_・?)なものが……デパ地下の老舗の佃煮屋で「えびすめを二百グラム」と言うのです。“えびすめ”ってナニ? あとから海老も注文しているから、エビの佃煮ではないことはたしかなので、エビ&スルメでもなさそうだし、以前調べた“えびすこ”とも関係なさそう……(゜゜;)


検索したらナゾの佃煮の正体は「昆布」の佃煮だとわかりました。昔むかしは、「ひろめ」や「えびすめ」と記述していたようです。「ひろめ」は幅が広い海藻の意味で「えびすめ」は蝦夷地の海藻を意味していたらしい。詳しくは“えびすめ”を販売している小倉屋山本さんのサイトをご覧下さいませ。

http://ogurayayamamoto.co.jp/know/history_kelp/


江戸時代に「こぶやあげこぶ」と声をかけて、揚げ昆布を売る物売りも市中を流して歩いていたという話は興味深いですね~『孤独のグルメ』江戸時代バージョンみたいな時代劇が見てみたくなりました。マンガとかでは結構みかけるんですが。



“えびすめ”を検索していてたどり着いたお店・小倉屋山本さんが『大地の子』や『白い巨塔』などを書いた小説家の山崎豊子さんの実家だと知ってビックリしました( ; ゜Д゜) そして1957年(昭和32年)に生家の昆布屋をモデルに、親子二代の商人を主人公として書いたのが『暖簾(のれん)』で、これで作家デビューしたそうです。
そうなんだ……で、早速買ってきちゃった(*´∀`)♪


新潮文庫なんですが、今年の3月で60刷!! スゴいです! ところでずっと気になっていたのですが「暖簾」という文字はナゼ「暖かい簾(すだれ)」なのか('_'?) もともと暖簾は禅宗の用語で、寒さを防ぐためにかけられた垂れ布を指していたようです。簾のすき間をおおって、暖めることから名付けられたそう。簾本体が発熱効果があるという意味ではなかった……(¨;) 「のんれん(「暖」は唐音で「のん」)」だったのが、転じて「のうれん」となり「のれん」に変化したそうです。



疑問がひとつ解決したし、また長くなってしまったので(^。^;)今日はこれにて失礼いたします。






rohengram799 at 22:30コメント(8) | 空のお城図書館  

コメント一欄

1. Posted by のざわ   2016年04月27日 23:18
オスカーさん、お誕生日おめでとうございます。
ご主人はじめ息子さんたちからのプレゼント、とてもほのぼのしました。
たくさんのコメントもあって、とても祝福された一日だったのですね。
いつも優しいコメントをいただき、とても感謝しています。
今日は『スゴ腕探偵』という翻訳の私家版がプリントパッ○から届きました。読んでくださる皆様に励まされ、趣味を続けています。
2. Posted by なう60   2016年04月28日 07:30
おはようございます。
「のんれん(「暖」は唐音で「のん」)」だったのが、転じて「のうれん」となり「のれん」に変化」オスカ-さんが疑問を一つ解決で皆さん視野が広くなっています。感謝です。
3. Posted by オスカー   2016年04月28日 10:06
§のざわ様
ありがとうございます!
ブログがないとサミシイ人生(本当に)なので、優しくされてブタも宇宙まで行っちゃいます!(笑)
『スゴ腕探偵』というタイトルにワクワクします。原稿用紙に書いたものが一冊の本に…なんて素晴らしい、感動的なことでしょう! 機会があればぜひ私も読んでみたいです。
4. Posted by オスカー   2016年04月28日 10:11
§なう60様
知らず知らずに使っている言葉にも歴史あり…で、知らないことばかりだからこそ得られる新鮮な喜び(笑)に毎日浸っています(^。^;) 「暖簾に腕押し」の仕事仲間にはウンザリしますが、大人な対応が出来るようにします~!
5. Posted by まろゆーろ   2016年04月28日 16:09
そうかぁ。小倉屋山本というか、「えびすめ」をご存じなかったのですね。
関東の方には縁の薄い大阪の味でしょうか。
母がこの「えびすめ」が大好きで、
親孝行だった僕は学生時代の帰省のたびに赤福とえびすめをお土産にしていました(エヘン)

息子さんはお母さんの好みをよく分かっているようですね。
素晴らしい本のセレクションです!! いいなぁ、こんな息子さん。
6. Posted by オスカー   2016年04月28日 18:34
§まろゆーろ様
私がほとんど食に関心がないので、知らなかっただけかも…山本というと海苔の山本山しか浮かびません 実家にも贈るのは落花生とかでした……師匠に比べてなんて安い……! オタ息子からは「まだ“ペスト”読んでないの?」と言われています……いつ読み終わるのかわかりません
7. Posted by のざわ   2016年04月29日 21:12
オスカーさんがえびすめを紹介してくださったHPを読みました。えびすめは塩ふき昆布なのですね!大好きです。
まろゆーろさんが関東の方は縁の薄い大阪の味でしょうかと書かれていますが、名前は存じ上げませんでした。
私も赤福、えびすめ共に大好きです。
オスカーさん、『スゴ腕探偵』は短編小説でたったの24枚(B5版)。原稿用紙というかパソコンでかちゃかちゃと
わりと簡単(?!)に翻訳できたんですよ。すごく面白いと思います(?)。ですので、お送りしますね。(勿論無料です)
きっと本邦初公開です。でも販売してしまったら著作権がらみで違反になります。
8. Posted by オスカー   2016年04月29日 23:44
§のざわ様
赤福餅はテレビで見たことはありますが、実際食べたことがありません。コンブという名字の人がいるかわかりませんが「若命(ワカメ)」さんは横須賀市周辺に多くみられるようです(笑)
翻訳された作品、どんな内容でしょう? 楽しみにしています。ありがとうございます!

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