2017年04月20日

菫青雲便りNo.19:楽園

たまには海外作品でも、と思ってマゾッホの『毛皮のヴィーナス』を読んだのですが、官能的というよりお笑いに近いような・・・想像していたお耽美とは違いましたわ。印象的だったところをちょっと書きますと

「げに平手打ちは百の説法に勝るのではあるまいか。一発食った方が物分かりが早いのである。特に教えてくれるのが、肉づきの好い小さな女性の手である場合には。」(p150)

「今日はあなたにすごくお熱なの、わかる?」(p213)


おネツとか久々に聞いた!と笑ってしまいましたよ~今は死語ですよね( ̄~ ̄;)



さてさて、少し前に『ショートショートの宝箱』という30編の短い話を集めた本を読みました。お馴染みの方、名前だけは・・・の方、どちらさま?(笑)なセミプロみたいな方など、書き手もですが、内容もすぐオチがわかるものやちょっとひねったものなどわりとバラエティーに富んでいたような気がします。 その中で私がホー!と思ったのが『楽園になった男』です。作者は吉澤涼馬という1989年生まれの若い方(笑) 江坂遊さんに師事しているそう。


内容は・・・「健人(けんじん)」という、遺伝子操作の果てに生み出された主人公。「健人は成長すると、やがて身体が数百倍にも膨れ上がり建物になる。今では資源の方が人間よりも価値を持っている。ただ健人を生むためには高価な装置と特殊な技術者が必要だったが、僕たちの世代を最後にそのどちらも失われた。」のですが「建物になってから売り払えば、手術代を上回る莫大な値が付く」ので「早寝早起き、適度な運動、完ぺきな食事」をするように言われるわけです。「建人の健康状態が成った後の質を決める」のですが、彼はそんな人生はイヤだと、家から飛び出し不健康な暮らしを続けていたので、立派な建物になることなどはあり得ない。それはわかっていたけれど、まさか、そんな・・・の「廃墟」になりましたぁΣ(´Д`;)!


タワーマンションになるにはどんな暮らしをしていたらよいのか、考えてしまいましたよ~少しずつ自分の身体がコンクリート化するのも怖いですが(途中で意識はなくなるようですが)目覚めたら、廃墟って・・・! 廃墟としての新しい人生、意識はある、そんな彼が「楽園」になった理由は!? それはお読み下さい(笑)



もし自分が建物になるんだったら、どんなにモノになるのか、考えてしまいましたよ・・・私もおどろしい、廃墟になるんだろうなぁ・・・触れたらすぐ崩壊!みたいな・・・( ;∀;)






rohengram799 at 10:30コメント(6) | 空のお城図書館  

コメント一欄

1. Posted by 猫ムスメ   2017年04月20日 13:12
「マゾッホ」って、名前だけで耽美を想像してしまうのは私だけでしょうか(笑)。

それにしてもその翻訳は古いですね。
出版自体が昔ならわかるのですが、ここ数年で出されたのに言葉が古いやつもあり、「えっ?」ってなります(;o;)
大体年配の翻訳者ですが、こういう違和感も、私が海外の小説を好まない理由の1つです…
2. Posted by ミューちゃん   2017年04月20日 16:51
5 オスカーさん、こんにちは
ウチの周りではタワーマンションて言うよりはコーポの方が多いです(笑)。タワーマンションって上の方に住みだすと下に住んでる人達を馬鹿にする傾向があるみたいです。まぁ、地震が起きてしまったら怖いのは、間違いなく上の方に住んでる人達でしょうね
3. Posted by オスカー   2017年04月21日 08:04
猫ムスメ様
1983年となっていたので「お熱」がまだアツアツの言語だった時期でしょうか? 官能小説だと思ってよむとガッカリ感がありますが、1人の男性の物語として読むと哀れみを感じます。つぎはぎやっぱりサド公爵にいくべきかしらん?(笑)
4. Posted by オスカー   2017年04月21日 08:10
ミューちゃん様
あんな高い場所に住みたい人の気持ちがわからないです~ハシゴ消防車が届かない高さって怖いです。 私が都内でひとり暮らししていた時の住まいの名称はマンション(3階建)とハイツ(2階建)でしたが、○○荘でも違和感ない建物でした(笑)
5. Posted by なう60   2017年04月21日 08:33
おはようございます。
「廃墟としての新しい人生、意識はある、そんな彼が「楽園」になった理由は!? 」やはりハッピーエンドが望ましくです。(笑)
6. Posted by オスカー   2017年04月21日 08:40
なう60様
気持ちひとつでどのようにも変わるものですが「私は貝になりたい」の前向きバージョンと言いますか、楽園も1日してならず、で長い年月を必要としましたね。ショートショートの楽しさを再確認したので『30の神品 ショートショート傑作選』が積ん読に加わりました!

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