九年前の祈り

2018年01月27日

新光雲便りNo.21:祈り

第152回芥川賞受賞作品『九年前の祈り』を読みました。表紙がなんとも言えず好きです。みにくく感じるかもしれないけれど、登場人物ひとりひとりに対して「こういう人、田舎にいる(いた)よね」と思いましたわ。


https://r.nikkei.com/article/DGXKZO83194570U5A210C1MZB001


タイトル作品を含む4つの短編集で、最初はそれぞれ独立した違う話なのかな、と思っていましたが、主人公をかえた連作でした。そんなにページ数があるわけではないのに(私の中では薄い本に分類される)内容はギッシリ詰まっている感じ。「祈り」って自分だけの願い事や希望ではなくて、世界平和の祈念とは違う、個人的な物てありながらも、どころかでその姿を見た者の中で、知らず知らずに受け継がれていくものなのかと、読み終わってしばらく経った今、思います。



付録として受賞式での作者のスピーチからの「与え、与え、なおも与え」、これもとてもよかったです。これだけでも読んで欲しいくらいです。



・・・すぐれた作品は、他者に「場所」を与えます。作り手にはもちろん、受け手にも場所を与えてくれます。素晴らしい小説や絵に出会うと、どうして感動するのでしょうか? 自分が受け入れられ、支えられている、どころか感じるからではないでしょうか。そこにいた私たち一人一人のための「場所」が、「私のための場所」があると感じられるからではないでしょうか。作品は、受け取ってくれる私たちを必要とします。私たちを受け入れ、「あなたが必要だ、あなたの存在が大切だ」と訴えているのです。つまり作品は、それに触れる人が「生きること」を望みます。「あなたに生きてほしい」。だからこそ、素晴らしい作品に出会ったとき、私たちは「支えられ」、「励まされ」、「救われた」と感じるのです。・・・(講談社文庫・p242)




今日もまた素晴らしい作品との出会いを求めて本屋さんに行ってしまうであろう、ワタクシです。皆さまもどうぞよい1日を♪(o・ω・)ノ))


【受賞スピーチ全文】

https://books.bunshun.jp/articles/-/2234


rohengram799 at 08:30コメント(4) 
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