備忘の果実 〜オスカー戯言日記〜

好きなことを好きな時にチマチマと書いています☘️

タグ:人形

♪夢を見る人形と みんな私を呼ぶの 風に揺られ 白い風船 飛んでるみたいと

昨日は田舎の月遅れのひな祭りでした。雛人形ではないけれど、伊藤つかさちゃんの「少女人形」が脳内に~。作曲は南こうせつさんでした。うん、らしいメロディです。

小林秀雄さんが昭和37年(1962年)10月に「朝日新聞」に発表した随筆『人形』、短いので全文載せます。この年はウチの兄が生まれた年。自分が作者の立場だったら、娘さんの立場だったら、夫だったら、妻だったら・・・。全く空気を読めない人間係ひとりでもいたら、と考えると恐ろしい。ただ、そこにいて、静かに穏やかに、何年経っても癒えない深い傷を当たり前のように共有する、そんな人間になりたいと思った作品でした。吉野弘さんの詩『夕焼け』の娘さんを思い出しました。



『或る時、大阪行の急行の食堂車で、遅い晩飯を食べていた。四人掛けのテーブルに、私は一人で坐っていたが、やがて、前の空席に、六十恰好の、上品な老人夫婦が腰をおろした。
細君の方は、小脇に何かを抱えて這入って来て私の向いの席に着いたのだが、袖の蔭から現れたのは、横抱きにされた、おやと思う程大きな人形であった。人形は、背広を着、ネクタイをしめ、外套を羽織って、外套と同じ縞柄の鳥打帽子を被っていた。
着附の方は未だ新しかったが、顔の方は、もうすっかり垢染みてテラテラしていた。眼元もどんよりと濁り、唇の色も槌せていた。何かの拍子に、人形は帽子を落し、これも薄汚くなった丸坊主を出した。
細君が目くばせすると、夫は、床から帽子を拾い上げ、私の目が会うと、ちょっと会釈して、車窓の釘に掛けたが、それは、子供連れで失礼とでも言いたげなこなしであった。
もはや、明らかな事である。人形は息子に違いない。それも、人形の顔から判断すれば、よほど以前の事である。一人息子は戦争で死んだのであろうか。夫は妻の乱心を鎮めるために、彼女に人形を当てがったが、以来、二度と正気には還らぬのを、こうして連れて歩いている。多分そんな事か、と私は想った。
夫は旅なれた様子で、ボーイに何かと註文していたが、今は、おだやかな顔でピールを飲んでいる。妻は、はこばれたスープを一匙すくっては、まず人形の口元に持って行き、自分の口に入れる。それを繰返している。私は、手元に引寄せていたバタ皿から、バタを取って、彼女のパン皿の上に載せた。彼女は息子にかまけていて、気が附かない。「これは恐縮」と夫が代りに礼を言った。
そこへ、大学生かと思われる娘さんが、私の隣に来て坐った。表情や挙動から、若い女性の持つ鋭敏を、私は直ぐ感じたように思った。彼女は、一と目で事を悟り、この不思議な会食に、素直に順応したようであった。私は、彼女が、私の心持まで見てしまったとさえ思った。これは、私には、彼女と同じ年頃の一人娘があるためであろうか。
細君の食事は、二人分であるから、遅々として進まない。やっとスープが終ったところである。もしかしたら、彼女は、全く正気なのかも知れない。身についてしまった習慣的行為かも知れない。とすれば、これまでになるのには、周囲の浅はかな好奇心とずい分戦わねばならなかったろう。それほど彼女の悲しみは深いのか。
異様な会食は、極く当り前に、静かに、敢えて言えぱ、和やかに終ったのだが、もし、誰かが、人形について余計な発言でもしたら、どうなったであろうか。私はそんな事を思った。』




【小林秀雄プロフィール】
http://www.shinchosha.co.jp/sp/writer/1511/


今日は新人さんの研修でありました。トイレがメインの清掃業務でありました。担当者が言っていた採用動機と違う話をしていたので、ますますあの人はなんなんだ?と思ってしまいました。新人さんはとても明るく元気な方だったので、私としては大変助かりました。長く働いてもらえるといいなと思っております!



さてさて・・・一昔前(ってオーバーかしらん)『トイレの神様』という歌が流行りましたが、石川県金沢市で神棚の製造販売業を営む松崎神堂店では「トイレの神様人形」が売られているとか?


金沢では江戸時代から、家の新築や改築時に、土でできた夫婦一対の人形を厠の下に埋める風習があったそうです。このお店では、創業した1945年当時から、この人形を「厠の神様人形」として製造販売していたそうです。うーん、歴史がありますね。然し、なぜ人形を埋めるのかはわからなかったので、もしご存知の方がいたら教えて欲しいです~!



この前『うんちっち』なる絵本を立ち読みしてきました。ウサギの子どもが主人公なんですが、何を言われても返事は「うんちっち」・・・殴りたくなりますわ~読み聞かせ絵本としては素晴らしいですが(;´∀`) オオカミに食べてもいいかきかれた時も「うん ちっち」と返事したので、ガブリとやられ・・・しかし、お腹が痛くなったオオカミ! 侮辱たすけだされたウサギはちゃんと返事をするようになったかと思ったら「オナラブー」・・・ママンの作る料理になにか問題があるのか? 子どもが大好きな絵本なのは間違いないので、検索してなんともムカつく顔をしたウサギの表紙をご覧下さいませ。


お食事前後に読まれた方、お食事中の方、申し訳ありませんヽ(;▽;)ノ



来週はもう2月…スーパーがチョコだらけになるのは仕方ないのか(笑)クリスマスから1ヶ月過ぎましたが、店のゴミ置き場には例のツリーに使ったペットボトルが針金みたいなのに繋がれた状態で放置されています。一体、いつ片付けるのだろう?


今日は本屋のポイントが10%(いつもは2%)行かねばなるまい!!絵本コーナーで、漫画家の西原理恵子さんの本が目についたので手に取りました。『いきのびる魔法-いじめられている君へ- 』は朝日新聞に掲載されて評判となった「いじめられている君へ」への寄稿文を絵本化したものだそうで、オールカラーのマンガ絵本。私は同時収録の『うつくしいのはら』を読んで「ヤバい!!」と思いました。リュックを背負ったアヤシイおばさんが絵本コーナーで立ち読みして泣いているなんて…(T-T)通報されちゃう!!


西原さんて『ぼくんち』もそうですが、下手な教育評論家や哲学本よりずっと心に響きます。同じ内容を私のキライな香○リカが言っても鼻で笑っちゃうと思います!!一昨日発売されたばかりなので、皆さまもぜひ手にとっていただきたいです。


今日は4冊ばかり買ったのですが、津原泰水さんの『たまさか人形堂物語』から読みはじめています。昨日の「ひとがた」がアタマにあったからでしょうか? 「諦めてしまっている人形も修理します」という広告にひかれてやってくるお客様とお店の人たちの物語。


人形というと山岸涼子さんの『わたしの人形は良い人形』とか『ひいなの埋葬』や『人形草紙あやつり左近』とか黒井ミサちゃんのパパとママ(『エコエコアザラク』を知らない人にはなんのこっちゃですね)とか…マンガがたくさん浮かんできました。イプセンの『人形の家』は読んだことはありませんが、広田三枝子さんの♪ホコリにまみれた~人形みたい~この歌は好きでした(((^^;)


そうそう、宝塚を退団してから人形作家になられた方がいらっしゃいます。
高城 叶さん、在団中はかんのん様と呼んでいました~懐かしい!!今は「是近有美」として活躍されています。ホームページで華やかなお人形さんたちをご覧下さいまし。


http://www.ne.jp/asahi/robe/rose/


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