佐藤春夫

2021年01月16日

初空雲便りNo.14:煙草正月

最近はタバコのポイ捨ても見かけなくなりましたが、買い物帰りに開封されたタバコが一箱(ソフトパッケージですが)道端に落ちていました。気がつかないうちに落としたんでしょうか。今はタバコもお高いのに。コレを機会に禁煙🚭するかしら?


図書館の本がタバコ臭い!というつぶやきを読みました。私はほとんど図書館を利用しないのだけれど(借りた本を汚しそうでコワい)そういうことがあるんですね。古本クサイなら経験あるけど(^o^;) 消臭方法の記事もありました。


煙草つながりで……佐藤春夫の随筆に『晶子さんの煙草正月』があります。青空文庫で見つけました。晶子さんは与謝野晶子のことだと思われます。


『晶子さんの煙草正月』 佐藤春夫

 わたくしは直接には奥様とお呼びしてかげでは晶子さんと呼び慣はした。生田長江先生の御夫妻が晶子さん晶子さんと仰言るのに慣れた為であつたらう。ともかく奥様とか、晶子さんとか呼んで、晶子先生と呼んだ事は無かつたからここでも晶子さんと呼ぶ。
 晶子さんは我々に対しては同門の一人として先生と呼ぶ事はお許しにならなかつた。寛先生に対する御遠慮であつた。現に同門の一人T・Nが晶子先生と呼んだのに対して
「わたしはあなたの先生ではありません、あなたは主人の門人だからわたしはあなたとは同門といふだけです。」
 とはつきり仰言つたのをわたくしは聞いてゐた。わたくしが、晶子さんにはじめてお目にかかつたのは十九才の春、その後が新詩社の門を頻々と敲いた頃だから、わたしの二十才前後の六七年、十五年上の晶子さんが三十五才前後の頃がわたくしのよく存じ上げてゐる頃で、寛先生が仏蘭西にお出かけになつた頃に当る。
 わたくしの「都会の憂鬱」時代で、住居も先生の下六番町(?)のお邸に近かつた。
 お留守宅に年賀に伺ふと晶子さんはすぐわたくしと知つて座敷の縁の奥にあるはなれ座敷のやうな四畳半のお書斎からお顔を出してこちらへとわたくしを招じたので行つてみると、お机の上にはさまざまな舶来煙草を並べたのをわたくしに示しながら
「暮にある方が贈つてくれたのを、今所在なさに箱から一本づつ出して吹かしてみたり、箱を見くらべたりして遊んでゐたところです。」
 と笑ひながら、わたくしにどれを欲しいかと問はれたものであつた。
春の雨障子あくればわが部屋の煙草のけむりうちまぢるかな
 といふやうなお作があつたのも、その頃ではなかつたかと思ふが、この歌を思ひ出すと必ずあの煙草と遊んでゐたお正月の晶子さんが思ひ出される。
 それとは何の関係も無いが、晶子さんが、お子さん方を叱りたしなめる折には必ずただ一言『下品』またはそれを重ねて『下品、下品』と仰言つたものである。品格の高下が与謝野家の庭訓であつた。善悪を説かないで品格の高下を教へたのも芸術家の家庭のたしなみらしいと今にしてなつかしくゆかしく思ひ当る。





煙草の話よりも晶子が子どもたちを叱る時の「下品、下品」というところがとても印象に残りました。(イニシャルの人物が誰かも気になるけれど。)柴門ふみさんの『小早川信木の恋』に


選択に迷ったら行動の基準は 人として美しい かどうかだけよ


というセリフがあったなぁ、と……それを思い出しました。私は見たことがないけれどドラマ化されていたようで……柴門さんの漫画は映像化されたものが多いなぁ。



*****


もう桜の開花予想が話題になっていますね。受験生の皆さんも「サクラサク🌸 」でありますように(*゚▽゚)ノ




rohengram799 at 07:20コメント(4) 

2019年10月29日

紅樹雲便りNo.27:「の」の字といえば…

「の」の字を書く、というとお見合いの席で、照れ隠しに畳にのの字、のの字……を連想しますが(古い?)佐藤春夫の短い話はなかなか平仮名を覚えられないうたちゃんの話。

【うたちゃんは、三人兄弟の末で、来年からは幼稚ようち園へ行こうというのですが、早くから、自分ではお姉ねえちゃん気どりで「えいちゃん」「えいちゃん」と、自分をよんでいます。「えいちゃん」とは、ねえちゃんのことなのです。】

さぁ、こんなうたちゃんは平仮名をちゃんと覚えられるでしょうか? 気になる方はこちらで全文をお読み下さいませ。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001763/files/58565_62879.html

「むの字には◯がありますその◯をのぞくと見えるえんどう畑」……この坪内稔典さんの短歌は、うたちゃんを連想させる(*´∀`)♪


さてさて……昨晩のこと。ダンナさんがくまモンのポーチを見て、くまモンの横にある花を「ハイビスカス🌺」と言ったので、ビックリしました………あれは「椿」でしょ、熊本だから「肥後椿」! うたちゃんくらいの小さい子どもが間違えるなら可愛らしくてふふっ!となりますが、オッサンでは……(ーー;)
http://www.kumamotokokufu-h.ed.jp/kumamoto/sizen/hana98/htubaki.html



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rohengram799 at 00:00コメント(2) 

2017年11月13日

霜見雲便りNo.12:さんま

11月8日読売新聞 「こどもの詩」に秋刀魚の詩が載っていました。



『秋刀魚』



今年もやってきた
あいつが
脂がのってて うまいんだ
毎年ご苦労さま
よく来たな
秋刀魚


(新松戸南中1年 ・阿部 鼓太郎さん)



旬のものってその時期にあって当たり前みたいに感じますが、毎年必ずみんなが満足するほど大漁だったり豊作だったりするわけではないのですよね。



さて、秋刀魚といえばやはり佐藤春夫の『秋刀魚の歌』ですね。現代文風に訳したものが面白かったのでお読み下さい。だいたい一部しか紹介されませんが、全部読むと、なんとゆーかな作品ですね。彼の人生もですが(;´д`)



https://plaza.rakuten.co.jp/createrj/diary/200911020004/




今週はとても冷え込むとか・・・皆さま、お身体に気をつけて下さいませ(*・ω・)ノ




rohengram799 at 09:28コメント(8) 

2012年03月30日

第732号:セクシャル・ヴァイオレット(^.^)

今日は強風で…なんて寒い挨拶!!“京風”だとお上品ないなり寿司がついた「そば定食みたい」と思うワタクシ、アタマは毎日春一番が吹きあれています(--;)


そんな本日の話題は「見ろ!!」のヴィーナスではなく『ミロのヴィーナス』にまつわる、ちょっと“セクシーなすみれ”( ̄ー ̄)


『影ふかくすみれ色なるおへそかな』(佐藤春夫)


この「おへそ」の持ち主こそがミロのヴィーナスさまでございます。ワタクシの生まれた1964年4月から9月に上野の国立西洋美術館に滞在されました。上野のお山には大行列が!!佐藤春夫氏は一般の大行列に混じって鑑賞したわけではなく、特別に許されて見学者がいないところでヴィーナスとご対面したらしい…のですが、お顔ではなくナゼにへそに注目なのでしょう?同時期に『宝石の如きおへそや春灯(はるともし)』という句も作っているそうです。


う~ん、まさか天井にミラーボールがあったり「ちょっとだけよ♪」のピンスポがあたっていたとも考えられないし…春夫氏の性癖が気になってきます(~_~)あの腰のひねり具合に注目するならなんとなくわかるのですが(笑)


“おへそフェチ”だったのかしら?「宝石の如き」なんて、へそピアスの世界ですわ( ̄▽ ̄;)


「佐藤春夫の耳は古色蒼然たるものであり、あかん坊の靴くらゐあつて、偉大なる大耳である」(室生犀星「佐藤春夫のあれこれ」)らしいですが、目の大きさはどうだったのか?つぶらな瞳だったのか、はんぎょどん(サンリオのキャラ)みたいな大きな目だったのか~写真を探して確認したいです(((^^;)


そんなワケで本日の仕事中、脳内に流れる音楽は♪フッ・フッ・フッ 色っぽいぜ~のあの名曲ですわ。誰もゴミ回収しているおばちゃんが♪You make me feel good Sexual Violet,Sexual Violet Sexual Violet No. 1 ~なんて(心の中で)歌っているとは思わないだろうなぁ~なのがまたオホホであります( ̄ー ̄)





rohengram799 at 18:05コメント(7) 
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