夢幻花伝

2012年12月05日

サバ雲便りNo.37:トキを「書ける」少年φ(..)

ドタバタ選挙やサッカーのゴンちゃん引退(カズが涙をこらえてコメントしている姿がまた悲しかった)など朝刊には今日もいろんな話題が載っていましたが、私の目をひいたのは《第62回全国小・中学校作文コンクール 文部科学大臣賞》要約紹介でした。


小学校低学年の女の子の『心のお天気』自分の気持ちの変化を晴れや曇りといった天気で表現した作文。「千晴の晴は、晴れやかな心でいられますように、と思って、つけた名前なんだよ。」と言ったお母さんの言葉!キラキラした名前をつける親に聞かせてあげたいですわ!!「ちはる」ちゃん、かわいい名前だ♪


そして思わずホロリ…になったのが、小学校高学年の男の子の『がんばれニッポニアニッポン!~おじいちゃんが教えてくれたこと~』です。トキのヒナ誕生!連日の報道に「なんでトキだけ…」(ラオウ様は?なんて思わない!!)と疑問に思った少年に父親が知らないおじいさんの写真とパネルを見せてくれた…なんと少年の祖父はトキ保護センターの高野高治さんで、教科書の説明文を書き、それが縁で東京の児童と文通をしその交流は《愛のキャッチボール》という本にまとめられていたことを知るのです。3歳の時に亡くなったおじいちゃんが…少年は驚きながらも祖父の書いた文章を一気読みします。


「がんばれ。ほろびないでくれ、ニッポニアニッポン!」これはトキを愛するすべての人々の祈りである。


祖父は当時小学生だった彼の父親に「この文章の最後どう思う?」「気持ちがこもりすぎて、学校で習う説明文らしくないよな?」とまじめな顔で聞いてきたそうです。「かっこいい。」少年がそう言うと父親も目をキラキラさせながら「お父さんも、かっこいいって言ったんだ!」
……泣いた!!アホだと言われてもバカと思われてもいい~もう、泣かずにいられない~おじいちゃんの心は息子にそして孫にちゃんと伝わっている!!おじいちゃんは亡くなったけれど、その想いは時を越えて受け継がれていく(T-T)


少し前に“観阿弥生誕680年 世阿弥生誕650年”の文字を見ました。こんなにも長い間途切れることなく受け継がれてきた能の世界。今朝、残念なことに歌舞伎役者の中村勘九郎さんが亡くなりました。歌舞伎もまた伝統の世界。私は凡人で長年伝えて欲しい技術や文化など持ち合わせてはいませんが、世阿弥を主人公にした木原敏江さんの漫画『夢幻花伝』にあった言葉を思い出します。


“手から手へ 心から心へ おもいをこめて伝えようとつとめれば どこかに必ずうけとめてくれるだれかがいる”

“輪がとぎれることはないのだ 春に萌え秋に散りまた芽吹き 人の世のあるかぎり何代も何代も のこせるかもしれない わたしのこのうたもこの技も 何もかも・・・”

書くことってやっぱりいいな、言葉の力を再認識した時間でもありました。
皆さまもステキな文章との出逢いがある1日になりますように(*^^*)




rohengram799 at 11:22コメント(10) 

2012年02月24日

第701号:そういう時代でありましたよ…(T-T)

梅の開花が遅れていて、梅祭りの開催時期が延期されているとか…今日は晴れですが明日はまた雨の予報、植物も混乱しているのではないかと思いますね(´д`)

梅といって次に思い出すのは桜ですね。という半ば無理矢理なツナギですが『雷桜』を読み終わりました。私、ずっと「カミナリサクラ」というタイトルだと思っていましたが「ライオウ」なんですね。カバーのフリガナをみて「アレ!?」…よかった、人に言わなくて!!でもライオウなんて相撲取りの雷電(ライデン)みたいでロマンチックじゃないし。

映画になったのは知っていますが、コレは映像ではなく漫画にした方が良い作品ではないかと思いました。特に桜を美しく描ける方がいいです。個人的には木原敏江さんに描いて欲しい~ラスト近くのお別れの場面はきっと素晴らしく美しく描いて下さるはず!

映画は誰を主人公にしたのか知りませんが、この時代だからこその人々の生きざまですね。今は亡き中島梓さまがドジさまのイラスト集に『木原敏江論文』なるものを書いていたのですが、その中にこんな文章がありました。


足利義満もまた世阿弥に対し、あくまで「たまたま将軍であり権力をもつところの一人の人間である。世阿弥は、「余を恨むか」と義満に問われるが、何もこたえない。(略)その無言につづくコマ―「そういう時代でありましたよ」(略)その中にあったからこそ、ルイはルイであり、義満は義満として生き、世阿弥は世阿弥として生きるだけのこと、それしかなかったのである。


※ルイとは『アンジェリク』という作品に出てくるルイ14世のこと


『雷桜』には幼い頃さらわれた娘、その家族や奉公先の殿様や家臣たち、隣接する藩との確執などいろんな出来事と人物が出てきますが、誰を主人公にしても物語が成立する「うまさ」があるなと思いました。それは決して技巧的ないやらしい意味ではなくて、登場人物が一人一人それぞれ「そういう時代」に生きたという実感が全編にあったからだと思います。個人的には、榎戸さまラブです(笑)

あと、角川文庫の中古本を購入したのですが、くにゃくにゃと丁度良いしなり具合で(笑)本自体が手に馴染み読みやすかったです!こういうのも嬉しいんですよ(^-^)v





rohengram799 at 10:34コメント(7) 
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