天野忠

2025年01月01日

静晨雲便りNo.1:新年の声

『新年の声』   天野忠


これでまあ
七十年生きてきたわけやけど
ほんまに
生きたちゅう正身のとこは
十年ぐらいなもんやろか
いやぁ
とてもそんだけはないやろなあ
七年ぐらいのもんやろか
七年もないやろなあ
五年ぐらいとちがうか
五年の正身………
ふん
それも心細いなあ
ぎりぎりしぼって
正身のとこ
三年………

底の底の方で
正身が呻いた。

ーそんなに削るな。



🌄



明けましておめでとうございます🎍


年が明けてダンナさんはコンビニに買い物に(チョコレートケーキとイチゴのシュークリームを買ってくれた)私は近くのスーパーに……思ったより人がいてビックリ!

昼前にダンナさんの職場から電話があり職員のひとりがインフルエンザに罹患したらしく……気をつけていても罹る時には罹るものなので仕方がないですね。


コチラは『ナース専科』に連載されていた漫画。『エキスパートナース』とかも昔はもっとプロフェッショナルな雰囲気の雑誌だった気がするのに、最近はアレ?な誌面になっているような。

【車いすで激走あの日の栗拾い】
https://square.nurse-senka.jp/articles/serials/manga_kurihiroi/page/2


看護実習生は一時的な付き合いになることがほとんどで、この話もいい話だと思いつつ、何人も患者さんと接していたらきっとムリだよ、なんて思うやさしくないワタクシ😓


🎍


天野忠さんの『新年の声』……70年も生きてはいませんが、60年も変わらないような……noteにはコチラを投稿しました。
https://note.com/during0901/n/nf27e2b6963e9


杉山平一『希望』について
http://poemculturetalk.poemculture.main.jp/?eid=330#gsc.tab=0


🎍


またアチラコチラに書き散らかす1年になるかもしれませんし、パタッ!と休眠するかもしれませんが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

健やかに美しく和やかに……佳き1年になりますように💖

(個別にご挨拶に伺えず申し訳ありません🙇)





追記

アメブロ元日記事🥸
https://ameblo.jp/ayaka4131-off/entry-12880770841.html





rohengram799 at 12:30コメント(6) 

2023年01月31日

芳春雲便りNo.20∶空気草履

こんにちは🐥

以前『遊動円木』についてのんびり記事で紹介した葛西善蔵の話を今ごろになって読みました。『遊動亭円木』は途中放棄した気がする😓

http://rohengram799.livedoor.blog/archives/50812724.html

内容は別になんですが(新婚さんのところに遊びに行った話)そこに「空気草履」というのが出てきて、なんだそりゃ?となりました。正直、コレの方が気になって、画像を見つけました。初めて見た! 大人が履くより子どもが履いてぴょんぴょんしそう🐥

https://www.zourihonpo.com/?mode=f33


『静おばあちゃんと要介護探偵』も読み終わりました。静おばあちゃんの女学校時代の友人が一酸化炭素中毒で事故死か?な第四話「菅田荘の怪事件」は天野忠さんの『好日』という詩を思い出しました🥲

http://rohengram799.livedoor.blog/archives/50804300.html

他の方の感想で知りましたが、各タイトルがアガサ・クリスティ作品タイトルのオマージュで、こちらはエルキュール・ポアロが初登場した『スタイルズ荘の怪事件』だそうです。読んだことない💦

静おばあちゃんと一緒に謎解きをする昔ながらの親分肌の玄太郎さんは車椅子を使っているのだけれど、今日の読売新・こどもの詩に幼稚園年中さんのこんな素敵な表現がありました。


「ひいばあの車椅子」

そうだよね
歩けない時もあるよね
そういう年頃だもんね
年頃タクシー到着しました!


年頃タクシー🍀 小さい子のタクシーはおとうさんの背中でしょうか? 酔っ払っちゃったフリした女性のタクシーは殿方の背中?(*´艸`*)

【酔っ払っちゃった】
https://www.uta-net.com/movie/4760/


1冊読んだらまた1冊追加〜解説がホラー漫画家の伊藤潤二さんのコチラが積読本の仲間入り🥸 映画化されるんですね。
【スイート・マイ・ホーム】
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000351792


明日はもう2月。値上げのニュースばかりでうんざりですが、少しでも楽しい出来事が見つかりますように。また来月もよろしければお付き合い下さいませ🙏






rohengram799 at 15:40コメント(4) 

2021年05月12日

梅月雲便りNo.5:五月の木

北海道の桜も葉桜になってしまいましたが、天野忠さんの『花』という詩に桜の美しさ、力強さ、儚さ、せつなさ……いろんなことを感じます。



    山桜のふとい枝が一本
    ごろりんと
    道ばたにころがっている。
    土をいっぱい載せたダンプカーのお尻に
    何べんとなくこすられ
    とうとう辛抱しきれずに
    道ばたに倒れてしまったのである。
    それでも春だから
    ぼろぼろの胴体にくっついた
    小枝の花は
    まだチラホラと咲いている。
    風が吹くと
    チラリホラリとこぼれる。

    それが非常に綺麗で困る。



*****


手を空にのばせば我も五月の木  

                       
今朝は空気がひんやり……飯田 晴さんのこの俳句を読むと、手のひらを太陽にあてると、生命線や運命線にパワーが充電されるよ(*´∀`)♪ という話を思い出します。


飯田晴さんについてはコチラをどうぞ。

https://fragie.exblog.jp/30068983/


*****


今日は『看護の日』ですね。昨年の『忘れられない看護エピソード』看護職部門の「その声は」を読み返してまた涙 (´;ω;`)

https://www.nurse.or.jp/home/event/simin/episode/10th/index.html




rohengram799 at 09:35コメント(4) 

2019年01月26日

萌月雲便りNo.26:好日

山本おさむさんの漫画に『天上の弦』という漫画があります。
http://konomanga.jp/guide/9797-2


この中にも出てきた(と記憶している)『今日は死ぬにはもってこいの日』。
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/will3104/entry-12093280493.html%3Fusqp%3Dmq331AQGCAEYASgB


そして、これを思い出すような天野忠さんの詩。小池昌代さん編著の『恋愛詩集』から。



『好日』 天野 忠


おじいさんと
おばあさんが
散歩している。
人通りの少ない公園裏の
陽のあたるおだやかな景色の中を。


おじいさんと
おばあさんが
うなぎ丼を食べている。
おじいさんがすこし残したので
おばあさんがたしなめている。


おじいさんと
おばあさんが
鳩に餌さをやっている。
本願寺さんの広い庭で
坊さん同士が鉢巻きをして喧嘩した庭で。


おじいさんと
おばあさんが
夕暮れの景色を見ている。
「すこし寒いようだね」とおじいさんが言う
「ええ すこし」とおばあさんがうなづく。


おじいさんと
おばあさんが
一つ蒲団の中で死んでいる。
部屋をキチンと片づけて
葬式代を入れた封筒に「済みません」と書いて。




小池昌代さんの言葉:
夫婦をまっとうし、けりをつける。ユーモラスに、壮絶に。日々、是、好き日なり。死ぬ日もまた。生の重みを羽根の軽さで書く。その落差にめまいがおこる名作だ。




rohengram799 at 07:23コメント(0) 

2018年08月06日

炎昼雲便りNo.19:しずかな夫婦

『この世界の片隅に』漫画は読んだけれど、アニメは見ていない私、ドラマはチラチラと見ていますが、みんなスマートでキレイ過ぎるのは仕方ないのでしょうか。「傘問答」(柿問答)時代だなぁと思いました。

https://happyrico.com/konogsekai-kakimondo/




天野忠さんの『しずかな夫婦』という詩があります。 『通勤電車で読む詩集』に収められていました。編著の小池昌代さんの

【 詩のなかに、いびきをかく女房が出てくる。いや女房とは、いびきをかく者のことを言うのだ。なにしろいつも、深く疲れているのだから。結婚とは実に面倒で厭なものだ。それは確かだが、この詩を読むと、そう言い切ることに躊躇を覚える。だが同時に、この一篇が生まれるために費やされた歳月を思って、誰もが言葉をなくすだろう。人を無口にさせる名詩だ。】

という言葉が深くしずかに心に沁みていきます。





 『しずかな夫婦 』 天野 忠


結婚よりも私は「夫婦」が好きだった。
とくにしずかな夫婦が好きだった。
結婚をひとまたぎして直ぐ
しずかな夫婦になれぬものかと思っていた。
おせっかいで心のあたたかな人がいて
私に結婚しろといった。
キモノの裾をパッパッと勇敢に蹴って歩く娘を連れて
ある日突然やってきた。
昼めし代わりにした東京ポテトの残りを新聞紙の上に置き
昨日入れたままの番茶にあわてて湯を注いだ。
下宿の鼻垂れ息子が窓から顔を出し
お見合いだ お見合いだ とはやして逃げた。
それから遠い電車道まで
初めての娘と私は ふわふわと歩いた。
-ニシンそばでもたべませんか と私は云った。
-ニシンはきらいです と娘は答えた。
そして私たちは結婚した。
おお そしていちばん感動したのは
いつもあの暗い部屋に私の帰ってくるころ
ポッと電灯の点いていることだった-
戦争がはじまってた。
祇園まつりの囃子がかすかに流れてくる晩
子供がうまれた。
次の子供がよだれを垂らしながらはい出したころ
徴用にとられた。便所で泣いた。
子供たちが手をかえ品をかえ病気をした。
ひもじさで口喧嘩も出来ず
女房はいびきをたててねた。
戦争は終った。
転々と職業をかえた。
ひもじさはつづいた。貯金はつかい果たした。
いつでも私たちはしずかな夫婦ではなかった。
貧乏と病気は律儀な奴で
年中私たちにへばりついてきた。
にもかかわらず
貧乏と病気が仲良く手助けして
私たちをにぎやかなそして相性でない夫婦にした。
子供たちは大きくなり(何をたべて育ったやら)
思い思いに デモクラチックに
遠くへ行ってしまった。
どこからか赤いチャンチャンコを呉れる年になって
夫婦はやっともとの二人になった。
三十年前夢見たしずかな夫婦ができ上がった。
-久しぶりに街へ出て と私は云った。
 ニシンそばでも喰ってこようか。
-ニシンそばは嫌いです。と
私の古い女房は答えた。

    


rohengram799 at 16:52コメント(0) 
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