恋しぐれ

2014年08月31日

遊雲便りNo.19:波濤万里~8月の本棚

本屋さんにいったら、もう来年のスケジュール帳や占いの本が……今年も残り4ヶ月かぁと、なんだかなぁ……と天気同様にモヤモヤどよりな気分( ̄~ ̄;)まぁ大きなケガも病気もせずに過ごせてよかったです。ブログ更新はイマイチでしたが(;A´▽`A



今日は休みなのでため込んでいた『孤独のグルメ』を鑑賞(^◇^)ごろーちゃんが頼んだ「ニギスの干物」のニギスが気になり、検索開始! キスに似ているからニギス……そうですか……って感じですが、とっても美味しいらしい( ゜ρ゜ )!! ホタルイカの干物も美味しそうだった……アレなら食べられるかもしれない!


《ニギス》

http://www.zukan-bouz.com/fish/nigisu/nigisu.html



さてさて、今月はアンソロジーをたくさん読んだので、作品数は確実に冊数の5倍以上な気がします。この前読んだ漫画に「国とは人…日本とは日本人のことですよ」という言葉がありましたが、繊細で切なくまたたくましさも備えた日本人の心を描いた作品に出逢えたと思います。特に『恋しぐれ』とアンソロジーにあった久生十蘭さんの『黄泉から』は好きですね。



久生さんの作品は『世界堂書店』というアンソロジーに収録されていましたが、今回の記事タイトル《波濤万里(はとうばんり)》は、遠く海を隔てていること。海の向こうの、はるか遠い国々のことを意味しています。「波濤」は大浪のこと。私はどちらかというとヒキコモリンなので、実際海を越えてどこかへ……ということはありませんが、本を通してあらゆる世界を旅することが出来るよろこびを知っているので、大変シアワセ!だと思っています(*´∀`)♪


カチカチとケータイをいじっていたら「ウルトラマリン」という色の名前(?)がありました。海(marine) を越えてきた (ultra-) という意味で、この場合の海とは地中海なんだそうです。天然ウルトラマリンの原料となるラピスラズリは、ヨーロッパの近くではアフガニスタンでしか産出せず、それが海路で運ばれたため、「海を越えて(来る・来た青)」という……浪漫ですなぁ。和名の群青は「青の集まり」という意味、日本人の魂に色があったらそれは瑠璃色でサムライブルーなのかしらん(´・ω・`)?などとまた妄想の大海にダイブしてしまいそう。



今月もウダウダぐじゃぐじゃのおやぢの戯れ言にお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。 また来月もどうぞよろしくお願い致します!!



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rohengram799 at 15:31コメント(10) 

2014年08月25日

遊雲便りNo.15:おやぢ晩夏~いのちなりけり

明日26日は祖父の祥月命日です。父も夏に逝きましたが、祖母と母は1月に……私も寒い季節に空のお城に旅立つのかしらん?と思ったりしています。


葉室麟さんの『恋しぐれ』読み終わりました。最初、与謝蕪村の老いらくの恋について書かれているのだと思っていたのですが、違いました。彼をとりまく人々を主人公にした7つの連作短編集といった方がいいかも。でもその中に彼の想いや苦悩が垣間見えて、構成もうまいなぁと思いました。 

蕪村は現在の大阪市都島区に生まれましたが、20歳の時に江戸に出て、当時の著名な俳人であった早野巴人(後に夜半亭宋阿と称す)に師事し、27歳の時に(1742年 寛保2年)夜半亭宋阿が亡くなったことを機に、松尾芭蕉に憧れて東北を旅したり、栃木、茨木、丹後や讃岐を旅したりしながら詩作を続けた人。42歳の時に京都を永住の地と定め、このころから「与謝」を名乗るように。俳句を教えながら45歳の時に結婚。娘がひとり。この娘さんの話もあります。また幽霊画でおなじみ(?)の円山応挙や『雨月物語』の上田成秋らとの交流が描かれていて、名前は知っていても活躍した時代がよくわからないワタクシだったので、そうなんだ~!と……また新聞の歳時記でよく見かけていた几董(きとう)や大魯(だいろ)の名前も出てきて、ああそう言えば……で、なんか感動(´∇`)


どの作品も単独で読んでいただいても大丈夫なのですが、私が特に好きなのは『雛灯り』。

 
「箱を出る顔わすれめや雛二対」


雛人形って一体ずつしまわれると思いますが、次に逢うまでは一人きりで狭い箱の中にいるんだよなぁ……もしかしたら人間の身勝手で、やむを得ない事情でずっと箱の中にいて、もうお互いの顔を見ることが出来ないのかもしれない……と初めてお雛様の気持ちになりましたわ。暗闇の中で愛しい人の顔を思い浮かべているのかなぁとか、イヤ、みんな正面向いているから顔なんか初めから知らないんじゃ?とか右大臣なんか酔っぱらいおやぢだから、何年経ったかなんて全く記憶にないんじゃないかとか……最後はいつものようにアホな考えにいってしまいましたが、決してこんな内容ではありませんので(;^_^A



『隠れ鬼』という話の中にはこんな言葉がありました。


「わたしは、いままで世を恨み、ひとを憎んで生きてまいりました。しかし、ひとが日々努力し、おのれの命を全うしようとする姿こそが美しく、愛おしいのだ、と思いました」



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rohengram799 at 13:21コメント(8) 

2014年08月23日

遊雲便りNo.13:夏しぐれ~銀の雨

昨晩、きつねうどんを食べながら(笑)『夏しぐれ』を読み終わりました。どの作品もよかったです!

『夏しぐれ』という言葉ですが、夏に降ったり止んだり時雨のような降り方をする雨の事を言います。「しぐれ」だけでは冬の季語なんですが「桜しぐれ」とか「山茶花しぐれ」とか……「月しぐれ」は月明かりの中を雨脚を白くしながら通り過ぎるしぐれ。こんな美しい句もありました。

『月夜しぐれ銀婚の銀降るように』(佐藤鬼房)

松山千春さんの名曲『銀の雨』には♪せめて貴方のさびしさ少し わかってあげればよかったのに 貴方がくれた思い出だけが ひとつふたつ 銀の雨の中……という歌詞があり、お互いに想いあっていたなにうまくいかなかったんだなぁって西加奈子さんの『しずく』を思い出してしまいましたが、俳句は静かに同じ時間を歩まれた天皇皇后両陛下のお姿がみえるような……。


ところで時雨煮(しぐれに)ってありますが、生姜を加えた佃煮の一種なんですね。私はしっとりほぐれるような煮方をしたものを言うのかと思っていました。ああ、恥ずかしい!「志ぐれ煮」と表記されることもあります。もとは桑名の名産として有名になった「時雨蛤(しぐれはまぐり)」のことで、これは芭蕉の高弟である江戸中期の俳人「各務支考(かがみしこう)」が名付けたと言われています。語源としては「さまざまな風味が口の中を通り過ぎることを時雨が一時的に降る様子に見立てたことから」「ハマグリの旬が時雨の降る時期と重なることから」「短時間で仕上げる調理法が時雨に似ていることから」などがあるそうです。

『夏しぐれ後ろ姿のステキなあなた(σ≧▽≦)σ』(恵雲)

……種田山頭火の『うしろすがたのしぐれてゆくか』(全部「かな」で漢字はない)を思い出したら、エメロンシャンプーのコマーシャルとコラボ(?)してしまった……旅から旅への漂泊の人・山頭火は「しぐれ煮」も食べたりしたかしら? 彼の句では『うどん供へて、母よ、わたくしもいただきまする』も好きです。「しぐれ」つながりで、今日からは葉室麟さんの老境を迎えた与謝蕪村、最後の恋の行く末を描いた『恋しぐれ』を読む予定です。


こちらも雨が降り始めました。広島の土砂災害の被害者・行方不明者は増えるばかり……子どもさんの名前を呼ぶ悲痛な母親の声を流すテレビ局って……きちんと悲しみに向き合うこともなく葬儀をしなくてはならないご家族の気持ちを思うと、むやみやたらにインタビューするのはやめてほしいです。


どうぞ穏やかなよい週末をお過ごし下さいますように……いつもありがとうございます。






rohengram799 at 13:14コメント(16) 
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