備忘の果実 〜オスカー戯言日記〜

好きなことを好きな時にチマチマと書いています☘️

タグ:朱川湊人

朱川湊人さんの『花まんま』『いっぺんさん』を読み終わり、う~ん満足!だったので、今度は少し違う人の作品を…ということで『草祭』なるタイトルにひかれ、文庫本を買いました。


作者は恒川光太郎さん、お初です!!現在は沖縄在住。そして私より…若いっ(~o~)昭和48年生まれ…はぁ~と何故かため息(笑)


『竜が最後に帰る場所』
…どこかで見たタイトルの作者でもあるので、案外この本も書評を読んでいたのかもしれないな、と思いました。


物語は「美奥」という奇妙な土地が舞台で神話や民話の世界に近いかも。読みやすいけど、内容は深い。朱川さんはホラーの要素が多いけど、恒川さんはファンタジーが強いかな?


読み進めていって「ん?」と思ったのが『くさのゆめがたり』(美奥がどうしてできたかみたいな話)のこの文章。


【絹代はいつもやさしかった。いつだったか何故そんなにやさしいのかと問うと、誰かからやさしくされたら、それを十倍にして周囲の人に返さなくてはならない。やさしさは巡っていつか自分に返ってくるものだから。】


私、最近似た文章をどこかで読んだような……そう!朱川さんの『かたみ歌』に収録されている「夏の落とし文」だ!! 弟に“兄ちゃんは、なんでそんなに優しいの?”ときかれてこう言ったんだ…。


【優しくされて嬉しいと思ったら、お前も誰かに優しくしてあげろよ。そしたらいつか、世界中のみんなが優しくなるから。】


今まで本を読んできて、短期間で似た言葉に出逢ったのは、今回がはじめてかも(((・・;)


格言や名言集を好んで読んでいると似た言葉に出逢うけれど、まだまだ新顔(笑)の作家さんだし。恒川さんのは、何冊か手にしていた一冊で、棚に返す可能性も大だったから、不思議なカンジです(((^^;)


こんな時期だから、今まで目にしてきた雑誌や新聞の記事から「脳内図書委員」が厳選してくれたのかもしれない(^-^)v

♪アカシアの雨にうたれて~この歌がテーマソングのような、東京下町の「アカシア商店街」ここは不思議なことが起こる場所…そんな短編集『かたみ歌』を読み終わりました。


作者の朱川湊人さんは私よりひとつ年上なのに、あの懐かしい昭和の情景、情感の描写がとても優しく素晴らしいです。

帯に「涙腺崩壊」とあり、こういう大袈裟なコピーはイヤなんだけどな~と思いながら買ったのは、カバーイラストの力もあります。下町のアーケード、店の感じがたまりません!!東京で最初に住んだ荒川区、都電の三ノ輪駅近くの中華料理店でバイトをしていたこともあるし…あの商店街も屋根があった(笑)

でもやっぱり作品のタイトルに単純にひかれたのかも…福永武彦さんの『風のかたみ』は高校時代から読みたい!!と思いながら読んでいないので(~_~;)せめて似たタイトルを…なところがあった!?(爆)

7編通して登場する古本屋のオジサン、外見は芥川龍之介が年齢を重ねた感じのいかにも…な男性。彼にも、もちろん他人が知らないドラマがあり~それは最後に明かされるのですが~そこにいくまでの微妙に小出しにされた伏線がニクい!!(←死語!?)

あの世とこの世をつなぐ井戸のあるお寺っていくつかききますが、この商店街近くの覚知寺もそう。キープレイスですね。親子心中した女の子が首を絞められた後を「ネックレス」というのは切ないけれど…(T-T)

一番好きなのは『夏の落とし文』です。昔は神隠しとかそんな言葉もありましたよね。兄弟愛に涙。そして『栞の恋』古本にはさんだ栞を介しての文通、淡い恋心の思いがけない結末。漫画で読んでみたい作品!!

商店街で暮らす人、関わりのあった人たち…みんながしあわせに暮らしてほしい、どこかにこんな場所があってほしい、いや今もあると信じたい~そんな『昭和』あふれる一冊でした。

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