瀬々倉卓治

2018年10月16日

稲熟雲便りNo.19:杖

「鼓動とも小春の母の杖の音 」 (花谷清)



「小春日和(こはるびより)」という言葉を使うにはまだまだ早いですね。ようやく秋らしくなってきたというか、朝晩ヒンヤリして寒いくらいになってきました。


小春は陰暦10月の異名。だいたい11月から 12月上旬に使う言葉ですが、文化庁が発表した平成26年度「国語に関する世論調査」では、本来の意味とされる「初冬の頃の、穏やかで暖かな天気」で使う人が51.7パーセント、本来の意味ではない「春先の頃の、穏やかで暖かな天気」で使う人が41.7パーセントという結果が出ているそうです(´д`ι)




今日の読売新聞・地域版の文芸欄に「杖」が出てくる川柳が載っていました。瀬々倉さんが秀逸に選んだ投稿作品がこちらです。


「シワの手を夫が握る杖がわり」(印西市・山田明さん)


(評) 手を握れば、別々に逝く気がしない。杖よりも手を握れば、体温が伝わるから、ふたりが歩き残した町を歩いてみたい。どう生きる、どう老いる。どちらかが先に逝くのに、言いっこなしの道がいっぽん。杖よりも優しい夫の手が、私をいざなう。ふたりだけの、たぐる晩歳。



「晩歳(ばんさい)」という言葉は知りませんでした。年老いた時、晩年の漢語表現になるんでしょうか。しみじみ・・・( o´ェ`o)




rohengram799 at 23:41コメント(4) 

2018年09月18日

菊咲雲便りNo.11:フタの壁

昨日は「敬老の日」でしたね。いつまでたっても「敬老の日は9月15日」の感覚が抜けないのですが・・・全人口のうち70歳以上の割合が初めて20㌫を超えたとか。



「高齢に一歳ずつの違う壁」(八街市・伊藤三峨さん)


昨年の読売新聞・地域版のよみうり文芸にあった川柳です。瀬々倉卓治さんが秀逸に選んだ作品。評はこちら。


たった一歳なのに、皺も足腰も壁がこんなに違う。たった一歳なのに、ご時世の運がこんなに違う。歳のせいも、生んだ親のせいも、負け組はこだわり、勝ち組は言いっこなしにする。見比べて暮らしがわかる女の掌(て)。見てごらん、皺も白髪も年の功。比べない幸せがいちばん。




こちらも前に発売された週刊ポスト(GW合併号)に載っていた記事ですが【あなたの「日常生活年齢」をチェックしよう!】というのがありました。(厚労省などの資料や医師への取材等によりポストが作成したもの)


例えば・・・40代は小学校低学年の子供をおぶって6分間歩ける、50代は階段を休まず4階まで上がれる、60代は電車で吊革に掴まらずに3駅立っていられる、70代はガスコンロの火加減を目で見て調整できる、80代はペットボトルの蓋が固くて開けられない、など。



記事によると「握力の衰えの目安は、男女ともに自分の体重の半分の握力があるかどうか。たとえば、体重60㎏で30㎏の握力がないと荷物の持ち運びなど日常生活に支障が出てきます。80代になると、如実に握力は低下しペットボトルのキャップを開けられない」という人が多くなるそう。


私、最近、モノによるのですが、ペットボトルの蓋が固くて開けられないのです・・・ヤバい(´Д`ノ)ノ




rohengram799 at 10:15コメント(6) 

2018年08月07日

炎昼雲便りNo.20:同居

読売新聞地域版のよみうり文芸、毎週火曜日に県内の方々が投稿された短歌・俳句・川柳を読むのが楽しみですが、今日の瀬々倉卓治さんが秀逸に選んだ川柳に胸がつまってしまいました。



「ひとり居に同居が叶う母の骨」(市原市 ・角田寿雄さん)



【評】抱けば、膝に、母の温もりがつたわる。いっしょに棲めば、母の骨壺に、私の声がつたわる。骨になって、子の膝に戻れた母の声が、巡り逢った終の棲家で、孝行に触れる。いろいろ揉めたであろう母の骨壺がひとつ、でも、生んだどの子も、優しかった母の風景が、独り居の、息子の膝で蘇る。



瀬々倉さんの評はいつもひとつの作品のよう。実際、どんな出来事があったのかはわからないけれど。「寿雄」という名前はお母さんがつけたのかなぁ・・・母子でおだやかな時間を過ごしてほしいと思いました。




rohengram799 at 13:13コメント(4) 

2018年06月19日

芸香雲便りNo.19:夫婦坂~当たりクジ

『金婚を生きてどちらも当たりクジ 』(八千代市・市川博人さん)


今朝の新聞に掲載されていた読者投稿の川柳です~金婚式に至るまでの年月、ご夫婦の間にはいろんなことがあったと思いますが、お互いに「当たり❣️」と思えるのが、本当に素晴らしい~うらやましい~!


選者の瀬々倉卓治さんの評はこちらです。評を読むとまた、お鼻がツーンとなってしまいます。


「寄り添って、花野にいた日もある。子育てを、ゆたかな色で歩いた日もある。飯椀に暮らしの顔を並べた明け暮れも、こんな筈でなかった風の日も、倒れたら抱き、迷ったら手をつなぎ、越えればみんな懐かしい。お互い当たりクジだったなぁ。金婚の顔、まだいっぱい朝も夜も来る。」



都はるみさんの歌う『夫婦坂』の♪流れゆく 人の世の 哀しみに泣いたなら 杖になってね 抱いてね 肩を貸してね 背負ってね を思い出した朝でした。


【夫婦坂】

https://sp.uta-net.com/song/4460/



rohengram799 at 09:07コメント(0) 

2018年03月21日

桃月雲便りNo.25:ショク・ホワイトブレンド

『この道しかない春の雪ふる』(種田山頭火)


春分の日に雪・・・春の女神は気まぐれでありますね。それに振り回されるのもまた楽しからずや、と思うのは邪なおやぢの妄想力ゆえでしょうか?



読売新聞3/13の地域版・読者投稿の文芸コーナーににこんな川柳がありました。


『何色に染まるか晴れの入社式』(八街市・伊藤三峨さん)


選者・瀬々倉卓治さん(評):藍になるか、朱になるか。「新入社員の皆さん、入社おめでとう」で始まった私の第2ステージは、数日で、夢に見た「やりたい仕事」と「やるべき仕事」がどんでん返しになる。若葉のまん中にいるのに、立ち位置が眩むのは、居並ぶ先輩の、影絵がみんな破れているからだ。



藍は「出藍之(しゅつらんのほまれ)」「青は藍より出でて藍より青し」を、朱は「朱に交われば赤くなる.」のことわざからの言葉でしょうねぇ・・・今は「黒」が入るような気がしますが(ーー)



♪White Spring 春の陽ざしに. White lips 輝きだせば. White blend 恋が芽ばえそう……


今回の記事タイトルは、資生堂のコマーシャルソングとしてミポリンが歌っていた竹内まりやさん作詞・作曲の「色・ホワイトブレンド」から・・・読み方は「いろ」ですが「就職」の「職」にかけたかったので、カタカナで「ショク・ホワイトブレンド」に~説明が必要なタイトルで失礼しました・・・皆さまが余計に寒くなりませんように!





rohengram799 at 14:30コメント(4) 
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