生きるかなしみ

2022年07月27日

涼天雲便りNo.13:一つだけ……

昨日は雨の中でも蝉が煩く鳴いていましたわ。こちらの「暑中見舞い」のイラストが風情があって素敵だったのでご覧下さい(◍•ᴗ•◍)
https://ameblo.jp/kame-kyu/entry-12754926925.html


『生きるかなしみ』というアンソロジーに川柳作家の時実新子さんの「わたしのアンドレ」というエッセイがあり、それを読み返しながら、この人の川柳って知らないかも…と今頃思ったワタクシ、好きな作品をいくつかご紹介。いつものように「おやぢのつぶやき」がセットになっています٩(♡ε♡ )۶


〈百合みだら五つひらいてみなみだら〉
五つという数字はなんだろ?と思った時に北村峰子さんの「熱帯夜抱かれて五感とりもどす」を思い出して「五感」のことなのかも、と。純潔の象徴にも使われる百合とその香りとみだらの取り合わせにクラクラしますわ。

〈悪い男と心ひとつに薔薇を見た〉
「薔薇を天井から吊るし、その下での話は秘密にしたというローマ時代の逸話がある。『薔薇の下で』が『秘密に』という意味にもなった」……コレを思い出しました〜ワケありな密会かしら…ドキドキ🌹

〈一つだけ言葉惜しめばまた逢える〉
友だち以上恋人未満な関係なのか、もし「好き」と言ってしまったら今の関係が壊れてしまいそうで結局言えなくて「じゃまた」とか言って手を振るのかなぁ、と。男女間ではなく、殿方ふたりの姿が浮かんでしまうのは貴腐人のサガでしょうか?(笑)

〈女かなリンゴがあれば爪立てん〉
リンゴがある…殿方の喉仏に喰らいつく妖艶な美女を想像してしまいます。おとなしく食べられて下さいな🍎

〈もしかして椿は男かもしれぬ〉
「老いながら椿となつて踊りけり」( 三橋鷹女)は女性のイメージだけれど。椿はお寺によく似合うと思う。そしてお坊さんの墨染めの衣に赤い椿も白い椿も似合うと思う。


【生きるかなしみ】
https://ddnavi.com/book/4480029435/

【時実新子】
https://www.artm.pref.hyogo.jp/bungaku/jousetsu/authors/a108/



rohengram799 at 10:30コメント(6) 

2022年03月15日

春和雲便りNo 9.:『生きるかなしみ』

おはようございます。昨日はアツかった〜半袖の小学生も見かけました。関東地方、お彼岸には桜の開花宣言があるかもしれませんね。


10日は東京大空襲、11日は東日本大震災……9日が語呂合わせの「ありがとうの日」だけにその後に続く出来事になんとも言えない気持ちになります。コロナの影響もありますが、皇族の方々の慰霊祭参列がなくなり……若者への記憶の継承、発信ということも含めて来年は愛子さまに参列していただけたら、などと考えてしまいます。しかし、相変わらず週刊誌の皇室関連記事の見出しは酷い(他の内容もですが)……持ち上げたり貶めたり。何が真実かはわからないですけど(´-ω-`)


東京新聞のコラム記事に「銀河鉄道の夜」を引用した記事がありました。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/164940?rct=hissen

最後の『幸せとは勇気を持って人のために生きること、だろうか。それはきっと、星になった人のためでもいい。』が沁みます。 読売新聞の「編集手帳」にあたるものが東京新聞の「筆洗(ひっせん)」なのですね。以前の記事も読めるのが有り難いです。


宮沢賢治というと『生きるかなしみ』(*)に弟の清六の文章も載っていました。

………………

吹雪はいつか静かになって、みちのくの野山には、いましんしんと雪が積もっているようだ。
こんな晩にも、第三紀の四次元世界のイギリス海岸では、怪鳥の群が飛びめぐり、幾条もの飛竜は空に馳せ上り、怪鳥はつかんで来たものを投げつけたりしているのであろうか。


まことのことばはうしなわれ
雲はちぎれてそらをとぶ
ああかがやきの四月の底を
はぎしり燃えてゆききする
おれはひとりの修羅なのだ


と、唾(つばき)し歯軋り叫んだ兄はいまどこで何をしているのだろうか。

(P72 〜73)


…………………


『生きるかなしみ』には戦争体験の話もいくつかあって、いろいろ考えさせられました。



(*)https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480029430/







rohengram799 at 06:55コメント(2) 
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